新しいイメージに捉われて…

職場の閉庁日も終盤を迎えました。今日も朝から工房に出かけ、陶彫制作に明け暮れました。成形された陶彫部品に彫り込み加飾を行い、足りなくなった混合陶土のために土錬機を回し、小分けにして菊練りをしました。明日のために座布団大のタタラを数枚準備し、ビニールで覆いました。制作サイクルが着実に動いていて、しかも私の頭の中はすっかり現在進行中の新作のことで一杯でした。屏風に接合する陶彫部品を全て、閉庁日に作り終えることができないと認識し、今後はどうやっていこうか、逸る気持ちを抑えながら作業をやっていました。そんな余裕がない時に、まったく新しいイメージが頭を掠めていきました。これはその先にある来年のイメージか?と思いつつ、ちょっと手を休めることにしました。私は現行の制作が混乱したり、困窮している時に新しいイメージが天井から降りてくることを嘗て経験しています。今回は過去の作品のように改まったイメージの降臨ではなかったものの、ふと頭を過ぎる画像を捉え、それが醸成するまで待とうと思っています。それが私にしてみれば新作導入の機会なのかもしれません。新作イメージは決して全てが新しくなっているわけではなく、旧作の発展形が一般的で、今回は白い空間に黒い直方体の箱が、きちんと並んで複数体置かれている場面が見えました。それは墓石のようでもあり、動きのない箱に何かが収まっているイメージでした。箱は欠損した部分があって、その断面が板状節理のようになっていました。現行の作品は曲面を多用していますが、新作イメージは矩形ばかりで面白味のないものでした。暫し休憩をしている間、手をストーブで温めながら、私はじっとしていました。新作は当初ビジュアルとしてやってきて、コトバによる解説は後付けになり、そこに理屈は存在していないのです。思索は制作途中で深まっていき、造形理論を培っていくのではないかと思うところですが、それは私の場合だけでしょうか。新作のイメージは幾つもやってきて、暗中模索の状態が続きますが、案外最初にイメージしたものが最後まで残ったりしています。ぼんやり考えていたら時間が経つのを忘れていて、慌てて現行の陶彫制作に戻りました。今日も朝9時から夕方4時までしっかり作業をして工房を後にしました。

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