新木場の「オスカー・ニーマイヤー展」

先日見に行った展覧会の詳しい感想をひとつずつアップしていきます。東京江東区にある東京都現代美術館は新木場に近く、橫浜に住む私の自宅からは遠い美術館のひとつです。ブラジルを代表する建築界の巨匠オスカー・ニーマイヤーの展覧会がここで開催されていると知って楽しみにしていました。テレビで紹介された雛型を複数配置した広い展示空間にも興味津々でした。「私は邪魔なものを排除していき、その結果、建物は独創性を増し、よりおおらかな空間を作り出す。」というインタビュー記事がアートショップにあった書籍に載っていました。ニーマイヤーの初期の作品にはル・コルビュジェの近代機能主義の影響がありましたが、次第にダイナミックで繊細な彼独特なセンスが現れ、その流麗なデザインは首都ブラジリア全体を成す建築群に昇華していきました。コンクリートという素材が生んだ曲線・曲面を多用した建築は、アートと相まって巨大な舞台を作り上げています。そこで自分が注目したのは人目を引く巨大建築群ではなく、ニーマイヤーの自宅でした。自然石のある地形を半分室内に取り入れた住宅は、周囲の風景との融合を図り、心地よい空間を作り出していました。また、ニーマイヤーは南米出身ということもあって政治色の強い建築家でもあったようです。とりわけ北米の資本主義の在り方に関して反発もあったことが分かりました。いずれにせよ多くの魅力ある建築物を数多く残したニーマイヤーの業績は、近代建築史の中で揺るぎない地位を与えられていることは間違いありません。

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