「罪と罰」第一部・第二部のまとめ

通勤時間帯に読んでいる「罪と罰」(ドストエフスキー著 工藤清一郎訳 新潮社)ですが、重厚なロシア文学であり、思想小説でもある本書は、当時のペテルブルグの貧困に喘ぐ民衆を背景に、貧しい元大学生が殺人を犯し、その心理状態の変化を、周囲で関わる人々を織り交ぜながら描いていくものです。主人公は元大学生ラスコーリニコフ。第一部の冒頭でラスコーリニコフが飲み屋で退職官吏マルメラードフの家族への思いを聞くところがあります。妻子のために稼いだ給料を全て飲み代にしてしまう性癖、そのために娘ソーニャは娼婦になって一家を支えている現状がマルメラードフによって語られています。ラスコーリニコフにも芯の強い清楚な妹ドゥーニャがいて、金持ちで弁護士のルージンに婚約を迫られているのです。ドラマの登場人物たちがさまざまな場面で導入されて、やがて起承転結の「起」の部分にあたる場面に差し掛かります。ラスコーリニコフが金貸しの老婆イワーノヴナを金品欲しさに殺してしまう場面です。居合わせた老婆の妹リザヴェータも殺してしまうところで第一部が終わります。第二部はラスコーリニコフが殺人の証拠を隠滅し、別件で出かけた警察で老婆殺しの話を立ち聞きする場面があり、また友人の大学生ラズミーヒンの殺人事件への洞察やらがあって、ラスコーリニコフの胸中が穏やかでない状況が綴られています。そんな時にマルメラードフが馬車に轢かれ、瀕死の状態になったところをラスコーリニコフによって妻子の待つ家に運ばれます。そこでマルメラードフが息を引き取り、ラスコーリニコフは持てる金銭を全てマルメラードフの妻子に渡してしまいます。そんなことでラスコーリニコフは殺人罪に対する心の救済を意識し始めているところで第二部が終わります。その後の展開が楽しみになってきました。

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