留学したばかりの頃…
2014年 8月 29日 金曜日
「小さい自己中心的の主観で軽々と批判し去ることは十分謹んで、兎に角すばらしいものがワンサとあるのだから、それにかぶりついて行く事が一番大事だと思ふ。」(保田龍門・保田春彦 往復書簡1958ー1965 武蔵野美術大学出版局)は保田龍門氏からご子息の春彦氏に宛てた手紙の一文です。本書を読んでいて、実父からの助言を羨ましく思いましたが、自分も同じような助言を手紙にしていただいたことがあります。自分の留学の手続きをしていただいた海外駐在員の方からの指摘でした。彼は商社マンでありながら音楽や美術に造詣が深く、私の若く拙い言動を丁寧に正してくれました。私が留学したばかりの頃、南独で見た古城の豪奢過ぎる装飾を批判した手紙を日本に送ったところ、まだ欧州の何たるかが分からないうちに軽々とした意見を言うものではないと諭してくれました。それが有り難かったと気付いたのは何年も経った後で、自分の感覚が徐々にリセットされて、異なる文化を受け入れる態勢が出来た頃でした。「往復書簡」を読んで、そんなことを思い出しました。
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Tags: ドイツ, 書籍, 留学
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