椅子に関する考察 Ⅱ
2014年 7月 8日 火曜日
昨日のNOTE(ブログ)の続きです。「視線とテクスト」(多木浩二著 青土社)の中に椅子に纏わる論考があり、興味深い箇所がありましたので、引用いたします。「作法と空間全体との相関性は、たとえばユカ…人間の足下にあるユカのちがいをうみだしている。それが南方から大陸を経て日本に渡来した高床とどれほど関連があるかわからないが、日本にしろ中国にしろ建築の様式はユカと地面とをはっきり切りはなしている。そして日本のユカはユカ全体が人が座るための席のようなもので、家に入るとはユカに上ることである。日本の空間ははてしない自然との連続性だけがとりあげられやすいが、それは壁や柱によって全体から分節されていないだけであって、地表とユカの関係からいえばはっきり不連続な分節構造をもっているのである。~略~一定の高さとして生じる椅子は地面に座っているものに対して威圧的な造型である。高さはつねに象徴的な価値をおびるのであるが、日本のユカの場合、ユカのレベルを変えて象徴的価値を付与しているところからいっても、行為の分節表に照合してみると、日本のユカと西洋の椅子が等価にあらわれてきて、空間の構造のちがいはあきらかになる。」甚だ長い引用になりましたが、日本の作法と建築様式の関係がよく表されているところではないかと思います。
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Tags: 書籍
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