「魅惑のニッポン木版画」展
2014年 3月 6日 木曜日
先日、横浜美術館で開催されている「魅惑のニッポン木版画」展に行ってきました。錦絵から現代に至るまで、日本の木版画は優れた表現と技術を持っていると私自身考えています。改めてその水準の高さに納得しました。印刷物として分業システムが充実していた江戸時代から明治時代にかけて錦絵がその高水準を誇り、また創作版画が始まってからは、作家自らがあらゆる作業に関わって深い表現を会得しています。日本人の体質と木材は合うのでしょうか。小林清親や川上澄生の文明開化を匂わせる画風や棟方志功や恩地幸四郎の斬新な構成、北岡文雄のプロレタリア風の具象世界、さらに若い世代の桐月沙樹に見られる木目を生かした繊細な画風など、ひとつずつ作品を挙げたら際限がなくなってしまいます。自分は今になって銅版画に興味を持っていますが、かつて親しんだ木版画も、時間が許せばもう一度試みたい願望があります。木版画は何といっても摺りが気持ちいいと感じます。和紙に絵の具が染み通っていく感覚にハマってしまいます。そんな作品が220点以上も並んでいれば、自分の内なる力が漲っていくのを感じます。改めて版画好きな自分に気づきました。
関連する投稿
- 町田の「西洋の木版画」展 先日、東京都町田市にある町田市立国際版画美術館で開催中の「西洋の木版画」展に行ってきました。私は学生時代に彫刻を専攻しながら、興味関心をもって試してきた技法が木版画でした。ドイツ表現派のざっくりとし […]
- カサット絵画におけるジャポニズム 19世紀から20世紀にかけてパリで印象派が活気を呈していた時代に、日本の浮世絵等がヨーロッパで紹介され、その画面の構成や色彩の象徴化に感銘を受けた芸術家が多かったのは美術史が示すところです。横浜美術 […]
- 横浜の「イサム・ノグチと長谷川三郎」展 昨日、会議の合間を縫って、横浜の桜木町にある横浜美術館で開催中の「イサム・ノグチと長谷川三郎」展を見てきました。本展は「変わるものと変わらざるもの」という副題がついていて、日本古来の伝統文化とモダン […]
- 楽しかった「空想の建築」展 このところ美術展によく出かけています。感想の機会を改めて持つと断言しているので、最近出かけた順番に展覧会の感想をアップしていきます。まず、連休中に出かけた町田市立国際版画美術館。同館で開催していた「 […]
- 木版画に対する思い 年齢とともに表現や思考が変化することは、自分もよくわかっています。現在は自分が20代の頃に目指した方向とまるで違う表現に変化していて、当時を振り返ることはなくなりました。先日出かけた横浜美術館の「魅 […]
Tags: 展覧会, 版画, 画家, 芸術家
The entry '「魅惑のニッポン木版画」展' was posted
on 3月 6th, 2014
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.