楽しかった「空想の建築」展
2013年 5月 21日 火曜日
このところ美術展によく出かけています。感想の機会を改めて持つと断言しているので、最近出かけた順番に展覧会の感想をアップしていきます。まず、連休中に出かけた町田市立国際版画美術館。同館で開催していた「空想の建築」展は自分にとっては大変有意義で、また楽しい展覧会でした。中世の画家ピラネージの細密な建築版画と、粗いタッチが空間を縦横無尽に走る「牢獄」シリーズがもう一度見たくて訪れましたが、現代の版画家であるエリック・デマジエールの室内を描いた版画にも魅了されました。ちょうど来年に向けてバベルの塔のような建築形態を陶彫で作ろうと決めていたところだったので、版画家のイメージが作り出す不可思議な建築物とその構図や独特な視点に自分が取り巻かれる感覚を持ちました。エリック・デマジエールの建築形態のひとつひとつのディテールが自分の感性の襞に触れて、自分が立体として甦らせたい衝動にも駆られました。日本人芸術家では、製図のような技法で近未来の風景を描く野又穣氏や、建築雛型もしくは機械製品にも見えるボックスアートを作っているコイズミアヤ氏の作品にも感銘を受けました。コイズミ氏の作品は、折しもこの時ボックスアートの巨匠コーネルの伝記を読んでいたところだったので、その関連として興味関心を持ちました。
関連する投稿
- 町田の「西洋の木版画」展 先日、東京都町田市にある町田市立国際版画美術館で開催中の「西洋の木版画」展に行ってきました。私は学生時代に彫刻を専攻しながら、興味関心をもって試してきた技法が木版画でした。ドイツ表現派のざっくりとし […]
- カサット絵画におけるジャポニズム 19世紀から20世紀にかけてパリで印象派が活気を呈していた時代に、日本の浮世絵等がヨーロッパで紹介され、その画面の構成や色彩の象徴化に感銘を受けた芸術家が多かったのは美術史が示すところです。横浜美術 […]
- 横浜の「イサム・ノグチと長谷川三郎」展 昨日、会議の合間を縫って、横浜の桜木町にある横浜美術館で開催中の「イサム・ノグチと長谷川三郎」展を見てきました。本展は「変わるものと変わらざるもの」という副題がついていて、日本古来の伝統文化とモダン […]
- 木版画に対する思い 年齢とともに表現や思考が変化することは、自分もよくわかっています。現在は自分が20代の頃に目指した方向とまるで違う表現に変化していて、当時を振り返ることはなくなりました。先日出かけた横浜美術館の「魅 […]
- 「魅惑のニッポン木版画」展 先日、横浜美術館で開催されている「魅惑のニッポン木版画」展に行ってきました。錦絵から現代に至るまで、日本の木版画は優れた表現と技術を持っていると私自身考えています。改めてその水準の高さに納得しました […]
Tags: イメージ, 展覧会, 版画, 画家, 芸術家
The entry '楽しかった「空想の建築」展' was posted
on 5月 21st, 2013
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.