トレーニングに関する雑感

スポーツにはトレーニングがつきものですが、創作行為や物事の発想にもトレーニングが必要だと感じます。創作における日々のトレーニングは、イメージ力を高めると確信しています。私の場合のトレーニングはRECORDで、一日1点の小さな作品制作によって常に創作と向かい合う状況を作っています。週末ごとに工房に行って彫刻制作をしているのも次に繋がるイメージが出易い状況を作っていると思います。造形イメージは制作を続けている工程で湧き上がってくることが多く、創作に関わっていない中でイメージをもつのは困難です。若い頃、制作したくても出来なかった時期に、何をどのように作るか具体的な画像が見えませんでした。エーゲ海沿岸の遺跡、陶芸の地肌、丘陵のパノラマ、砂埃立つ大地、出土品の数々、これらを思い浮かべても作品の具現化に繋がらなかったのでした。まず油絵を描き始め、陶技法を模索するという行動に出たおかげで、イメージが固まってきました。砂マチエールを駆使した油絵の具で大地を表し、そこに陶彫による出土された都市を配置するべくカタチは象徴化・抽象化の傾向に発展し、現在の造形イメージが登場してきました。そこから日々のイメージトレーニングが始まっています。どんなことから始めてもいいのではないか、ともかく作る行動を起こせばイメージが湧いてくると思っています。

関連する投稿

  • 金沢の「工芸未来派」展 今夏、石川県金沢に出かけた目的のひとつは金沢21世紀美術館を見てくることでした。昔、金沢を訪れた時には金沢21世紀美術館はありませんでした。美術館は兼六園に近い場所にありました。円形をした開放的な建 […]
  • 陶彫のはじまり 私は20代終わりで海外生活を切り上げて、日本に帰ってきました。海外でイメージを醸成した立体的な世界観を、30代初めになって陶のブロックを組み合わせることで表現できると考えていて、実際にそれが具現化さ […]
  • 陶のピラミッド 制作への思いが募っているところに、今日の涼しさ…。まさに制作しやすい環境になってきたようですが、この涼しさはずっと続くのでしょうか?猛暑に慣れてしまった身体には寒ささえ感じる涼しさです。いよいよ秋が […]
  • 歯車のRECORD 20代の滞欧時代に作った自分の初期の版画に、車輪のような歯車のようなイメージを描きました。具象彫刻をやっていた自分が初めて抽象を意識した作品で、版下は捨てられずそのまま日本に持ち帰ってきました。まだ […]
  • 週末 新作の陶彫彫り込み加飾 今日は朝から美大受験生2人が工房に来ていました。私が週末であるのを意識できるところは彼女たちが来ているかどうかだなぁと思っています。工房での作業は週末だからといって私には特別でなくなっているため、人 […]

Comments are closed.