西洋の没落「起源と土地と」そのⅡ
2012年 8月 16日 木曜日
「西洋の没落」(O.シュペングラー著 村松正俊訳 五月書房)の第二巻を読んでいます。「起源と土地と」そのⅡとした副題は「高度文化の群れ」です。ここでは原始文化から現在の高度になった文化に至る経緯が多角的な視点から述べられていますが、自分が着目した箇所は、原始的生活からくる文化の様相が、高度文化の魂的可能性として有しているものと異なっているところで、その意識の変化がどのように起こったかに関心を持ちました。「人間の覚醒存在は数千年来、種族と民族との絶えざる相互接触が、自明的な日常の平凡事だという事実に印象づけられている。しかし第一の時代(原始文化)については、人間はこの時代にはごく少数の群れをなして、動物の大群の大集団が完全に支配している無限の広い土地のなかに、四散していたということを考えなければならない。」「土地で森や獣群の外に、『全くわれわれ自身のような』人間にたびたび出会った時には、世界意識はどんなに変わらなければならなかったか。人間の数の増加は疑いもなく非常に突然生じたのであるが、それは『仲間の人間』を普通平凡な体験とさせ、驚きの印象を、喜びまたは敵意の感情に変えた。そうしてこれによってひとりでに、経験から成り、無意識的な、不可避的な関係から成る全然新しい一つの世界を呼び起こした。」以上、引用した文面は章のまとめにはなりませんが、人間が現在のような社会生活を営むようになる起源に思いを馳せながら、この章を読みました。