仮面に魅せられて…

先日、千葉市立美術館に「MASKS-仮の面」展を見に行き、改めて自分の仮面好きを認識しました。どうして自分はこんなに仮面が好きなのか、人間や動物の表情を戯画化したものにユーモアを見出したのか、原始的で民族的なものに造形的な生命力を感じたのか、さまざまな要素が絡まって自分の趣味趣向が形成されているのだと思っています。そもそも仮面の起源は、宗教的な儀礼から演劇や舞踏へ発展していったものと考えられます。自然に対して無力だった古代の人々は、超俗なモノによって邪悪から己を守ってきました。人が通常ではない超俗な世界を獲得するための装置が仮面だったのではないかと思われます。世界各地の仮面を見ると、その民族性や神々の多様性が見て取れて、自分にはプリミティヴで豊かな人間集団が感じ取れて、そこに思わず魅せられてしまうのです。自分とは違う自分になりたいという欲求は現在でもあります。仮面が古代の信仰から離れて、現代でも美術的演劇的な世界に登場していることに自分は大変興味があります。自分には仮面劇を創造したい願望があります。そんなことを思い起こさせる展覧会でした。

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