長寿に憧れる思い

今朝、職場に届いていた新聞各紙が日本画家堀文子氏の訃報を告げる記事を掲載していました。堀文子氏は享年100歳。長い間創作活動に邁進出来て、私自身は羨ましいと感じています。新聞記事を読むと、堀氏は創画会結成に参加したり、絵本も手掛け、国際的な賞を取ったりしていたようです。70歳間近になってイタリアにアトリエを構えたり、メキシコ遺跡やヒマラヤ山麓などを旅していて、その旺盛な好奇心や止めども尽きない創作意欲に頭が下がります。日本画もそうですが、私がやっている彫刻も技術の習得に時間がかかる表現媒体です。そのせいか私は60代になってもつい最近彫刻を始めたばかりの気持ちになっていて、なかなか満足できる作品が作れず、自分の数十年に及ぶキャリアを否定したくなるのです。自分は長く彫刻をやっている気がしないのは、創作活動が自分を振り返る余裕を与えてくれないからかもしれません。過去に作ったモノは気に入らないモノばかり、これから始める彫刻で何度目かのスタートをするというのが本音です。常にリセットしてしまう私の癖を考えると、堀氏のように長く創作活動に携われる幸せに憧れるのです。創作活動の中でもとりわけ時間のかかる彫刻を始めたばかりに、人生は何て短いのだろうと感じる日々です。人生100年時代がやってきたと言われる昨今ですが、本当に100年という時間が与えられるならば、私はあと40年近く創作活動に関われることになります。新しく始めようと思っている版画や墨絵、鉄の造形、楽器の演奏、世界遺産を巡る旅など、私は陶彫制作に勤しみながら、次から次へチャレンジしてみたくなるのです。長寿に憧れる思い、加齢とともにその思いは益々募るばかりです。

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