「江口週 彫刻/デッサン」展

木彫家江口週は、いわゆる日本の伝統的な木彫とは異なる世界観を持つ彫刻家です。木材を構成する造形作家と言った方がいいかもしれません。難波し大海を漂った巨大な木造船の残骸が渚に打ち寄せられて、その大いなる櫂が空間に投げ出されたような、そんな衝撃的な空間構成が、江口ワールドと重なるのは私だけでしょうか。または突如出現した巨木に刻まれた古代の住居跡か、何かの祭壇か、江口ワールドにはイメージを刺激してやまない何かが潜んでいると感じます。先日、神奈川県立近代美術館鎌倉館で開催中の「江口週 彫刻/デッサン」展に行って、こんなことを思いつつ、同展には80歳になった造形作家の最新作を含めた作品群がありました。東京銀座ギャラリーせいほうでも見たことのある最新作を身近に感じながら、自分が彫刻を志した時から刺激を与え続けてくれた作家の足跡を見直し、涸れることのないイメージの源泉に触れたように思います。自分もこうありたいと願いながら、同展を後にしました。

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