上野の「インカ帝国展」

先日、表記の展覧会を見に東京上野の国立科学博物館へ行ってきました。雨が降る土曜日の午前中、しかも開催初日でしたが、大勢の鑑賞者がいました。アンデス文明史上最大の国家「インカ帝国」は、どんな文明や文化を持っていたのか興味が尽きず、この展覧会には必ず行こうと決めていました。文字や鉄や車輪すらなかったインカ帝国は、一方で堅牢な石造建築を残しています。中でもマチュピチュは自分にとって憧れの建造物なのです。つづら織に見られる独特な図像や色彩も眼を引きます。周辺の民族を支配したインカ帝国は、視覚的なシンボリズムとして統制のきいた幾何学的な文様を、多民族から成り立つ職人に作らせていたとする見方もあります。確かに造形的に見てもわかりやすく美しいと感じます。今回の展示では数体のミイラがきていました。保存状態がよく人体の姿勢にも眼が奪われました。発見された墓地では布で包まれていたようで、ミイラそのものにも加工された跡がありました。展示の最後に3Dによるマチュピチュの映像がありました。空から自在に旋回して地上に近づくカメラは、遺跡の全貌を眺めまわし、私たちを鳥のように軽やかにさせてくれます。15分の映像でしたが、自分は2回見てしまいました。仕事から解放された週末に相応しいひと時でした。

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