原点を忘れない

昨日、母校の芸祭に出かけたことでいろいろな思いが頭を過ぎります。自分の出身大学に行く機会としては、卒業証明書を発行してもらいに行く程度で、自分も海外に留学する時や就職する時に行ってきました。自分が幸い美術に関わり続けているためか、美術館を会場とする卒業制作展を何回か見たことがありました。大学の芸祭となると、知り合いがいなければまず行くことはないと思います。でも自分の彫刻家としての出発点は大学にあります。高校時代、工業デザイン科を目指して受験勉強をしていた自分にとって、彫刻を学んだのは大学に入ってからのことで、初めて人体による全身塑造を作ったのでした。デザイン科の立体構成では心棒を使うような大きな塑造はありませんでした。モデルを立たせて行う塑造は、立体を解釈する上で苦しくも楽しい時間でした。最初は頼りなかった自分の習作は、次第に立体的なボリュームを増し、それでも古今の名作に比べるとたどたどしさが目立って何度やっても気に入らず、ふとしたことで壊したい衝動に駆られました。そんな原点を忘れずにいたいものです。母校の新しくなった2号館前に立って、30年前を振り返っている自分がいました。

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