母校の芸祭訪問

工房に出入りしている若い世代の中に、私の母校で工芸工業デザインを学んでいる子がいます。その子に案内をお願いして久しぶりに母校の芸祭(学園祭)に出かけました。新しい校舎がいっぱい建てられ、設備も充実して、恵まれた環境の中で多くの若い才能が育っている様子が伺えました。芸祭は自分がいた30年前に比べれば、フリーマーケットが増えて、ユニークな店が所狭しと並んでいました。学生作品の展示は卒業制作展のようなクオリティは望めませんが、むしろ日々の迷いや悩みが表出されていました。自分もこんなものだったのかなと思いながら、彼らが卒業した後のことを考えていました。彫刻科では自分のような人体塑造ばかり作っていた学生は現在少数派なのでしょうか。情報に溢れている分、現代は表現の領域が広がっています。情報に左右され、自己を深く探求できない学生が多いのではないかと危惧しています。自分がかつて池田宗弘先生の指導を受けて、厳しい思いが交差して頭を抱えていた旧2号館前のベンチは既になくなっていて、2号館は素晴しい高層建築に生まれ変わっていました。ガラス越しに見えた彫刻科の工房の広さと設備に驚き、現在自分がここで学んでいたら、どんな表現をしているのだろうと空想に耽ってしまいました。

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