「川喜田半泥子のすべて」展

銀行取締役、そして頭取、財界人として活躍した川喜田半泥子。自分は陶芸家として知っていましたが、実は趣味が高じて、その域を抜き出ていたことを、この展覧会を通じて知りました。本格的な二束の草鞋。自分にとっては先達にあたる人だったわけです。自邸に窯場を設けて、日本各地の陶芸要素を取り入れた自由闊達な作陶ぶりが伺えて、実に楽しい展覧会でした。知人にチケットを頂いた上、会場が地元横浜のデパートとあれば、冬の寒いひと時を過ごすのにこれは絶好の場所と言わざるを得ません。その知人が知ってか知らずか、川喜田半泥子はスケールに違いはあっても自分と同じ境遇で、さぞや多忙だったのかもしれないと思いつつ、その一方で恵まれた環境があったと思っています。食うや食わずの生活をしながら芸術を貫くことが、川喜田半泥子にも自分の人生にも無いと思うからです。だからといって芸術を飾りくらいにしか考えていないわけではなく、趣味と言ってはあまりにも理不尽なくらい精魂傾けていて、ヘタをすれば管理職を擲っても、これをやってしまいたくなる勢いがあるのです。これは霊に憑かれたようなもので、なんでこんなものがいいのか自分にはわからなくなる時があります。「川喜田半泥子のすべて」展を見て回ると、その軽妙洒脱さと好き勝手にやっていく自由さが、自分の心にすっと入ってきて、自分もこんな境地でやればいいのかと、創作にかける思いを新たにした次第です。

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