「田中一村 豊饒の奄美」

表題は大矢鞆音著「田中一村 豊饒の奄美」で、3月に奄美大島に行った時に購入した書籍の一冊です。田中一村は以前NHK「日曜美術館」で取り上げられて興味を持った日本画家で、横浜のデパートの巡回展にも足を運びました。それ以来現代的なセンスで描かれた一村ワールドの虜になり、当時の図録だけでは飽き足りず、今回も奄美の美術館を訪ね、このような本を買った次第です。中央画壇に背を向けた経緯、奄美の生活と創作の充実、自分も美術に関わる作者の端くれとして、取材から浮き彫りされる一村の足跡がよくわかり、生々しいイメージが沸きました。とくに奄美に渡ってからの創作活動に興味津々でした。自分も年1回の個展以外に発表する手立てがなく、画壇との付き合いも望むべくもない作家ですが、ひたすら創作して心がいっぱいになっている充実感はあります。もっと認められたいと願うのは作家である以上つきまとう現実ですが、まず創作活動ありきと思っています。認められる認められないは結果としてついてきてくれればと願ってやみません。

関連する投稿

  • 葉山館の「ベン・シャーン展」
    昨日、「ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト」展を見に神奈川県立近代美術館葉山館に行ってきました。ベン・シャーンはアメリカの下町やそこで生きる人々を丹念に描き、それによって社会的な背景までも炙り出した画家です。自...
  • ベルナール・ビュフェ美術館
    日曜日に相原工房スタッフの遠足として出かけたベルナール・ビュフェ美術館は、小高い丘に建つ瀟洒な建物で周囲には木々があって素晴らしいところにあります。ビュフェは若くして世に出た画家で、灰色がかった色彩とそこに佇む細い人物が...
  • 知的活動と手仕事
    「キルヒナーは、1925年の自分の作品についての重要な自伝的省察において、『知的活動と手仕事の結びつきにおいて世界でもっとも美しくユニークな』芸術家という職業を彼が二元的に理解していることを明確に述べている。~略~」(「...
  • 「三本の糸杉」M・エルンスト
    シュルレアリスムの画家マックス・エルンストは大好きな芸術家の一人です。いつもマチエールの巧みさと面白さに魅了されます。フロッタージュ(擦りだし)とグラッタージュ(削り)によって、画面が地質的であったり、また植物的であった...
  • 無声映画「アンダルシアの犬」
    国立新美術館で開催中の「シュルレアリスム展」で、1920年から30年にかけて作られた無声映画を上映していました。瀧口修造全集(みすず書房)にも登場するシュルレアリスムの映画を一度は見てみたいと思っていたのです。こんな場所...

Comments are closed.