「池田龍雄 アヴァンギャルドの軌跡」

先日、表題の展覧会に行ってきました。神奈川県川崎市にある岡本太郎美術館は、岡本太郎ゆかりの芸術家による企画で見応えのある展覧会が多く、そのたびに見に出かけます。現在開催中の「池田龍雄 アヴァンギャルドの軌跡」展も、60年にわたり現代美術の第一線で活躍されている現存作家の刺激的な展示内容になっていて、自分にとっては大変な活力をもらった気がしています。1950年代より、その頃の前衛としてのシュルレアリスムや抽象傾向を包括した画業を展開し、今なお創作意欲が衰えない作者には頭が下がるばかりですが、願わくば自分もこうでありたいと思っています。作品をじっくり見ていくと1点1点の完成度の高さや仕事量の多さに驚きます。この日は質量ともに圧倒される展覧会に出会えた幸せを感じました。絵画ばかりではなく立体等も手がけられて、時としてコラージュを用いたり、素材を生かす造形があったりして、表現媒体の多様さと、そこにいきつくまでの試行錯誤が垣間見られました。いろいろな手法を使っても精神性を失わない秘密がこんなところにあるのかもしれないと思いました。

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