白バラは散らず

少し前の新聞で最近のドイツ映画を取り上げ、ナチズムに対する実像を映像によって捉えるクオリテイの高い表現が出てきたと伝えていました。そこに「白バラの祈り」という新作映画の解説が載り、まてよ、これはひょっとして、と本棚に目をやり、30年前に読んだ「白バラは散らず」という小さい本を再び取り出しました。この本をどうして知ったかといえば、当時デザイン科の先生がドイツにあるウルム造形大学の話をしていて、この海外の大学の関係者が「白バラ」に関わっていたと何気なく言った一言でした。本を読んで知ったことは「白バラは散らず」の著者がウルム造形大学教授の奥さんで、その人の兄弟がナチズムに異を唱えて処刑されたショル兄弟だったのです。物語はウルム造形大学とは直接関わりがないにしろ、この戦争中の事実を20歳になったばかりの自分が読んで、かなり衝撃を受けたことを思い出しました。日本にもドイツと同じ過ちを犯した過去があります。日本の映画も日本軍の侵略を事実に基づいて描くことが今後できるのでしょうか。そんな問いかけをしてみたくなるノンフィクション・ストーリーです。

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