みやさんの「ユーラシア無限軌道」

表題の本は紀行作家みやこうせいさんが書いたもので、詩人のまどみちおさんとみやさんが東京青山のギャラリーで2人展を開催していた時に購入しました。「名前なんてつまらないサインはやめて、サインではないサインを」と無礼な要求をしたら、さすがみやさんは心得たもので、「地球はあなたの心の一地方」とサラリと書いてくれました。この本を読んでいると、まるでみやさんと会話しているような錯覚に陥ります。エスプリに富んだジョークや世界情勢まで話題豊富なみやさんが目前にいるようです。みやさんのフットワークの軽さ、行動力、コトバの魔術にスルスルと魅かれていきます。とりわけ東欧の寒村の情景描写では、かつてみやさんに案内された場所での匂いや踏みしめた土までも甦ってくるようです。難解な書籍を携えて旅しているみやさんをこの本で初めて知って、当時は脇でくだらない話しかしなかった自分を恥じるばかりです。本に登場しない愚かな人々が(自分も含めて)たくさんいることを、本を読まれている方々につけ加えておきます。でないと、みやさんと旅で出会う人々はみなインテリかと誤解されます。ルーマニアで酒にまかせてバカ騒ぎしたことも一度や二度ではありません。

関連する投稿

  • 「もの派」を考える
    素材に何も手を加えず、ギャラリーの空間に放置する展示方法を自分はどのように考えるか、現代に至る造形思想史を辿れば、「もの派」の登場した背景がわかりますが、これを美術に関心の薄い人々はどう見るのでしょうか。もっとも私の非対...
  • 美術館&ギャラリー巡りの日
    週末になり、ウィークディの仕事から気分を解放させるため、今日は美術館に出かけました。朝8時半に家を出て東京の六本木まで電車を乗り継いで行きました。国立新美術館で開催中の「シュルレアリスム展」は必ず行こうと決めていた企画展...
  • 土練りのあと美術館へ…
    成形に使う陶土がなくなり土練りをしました。陶彫は土を単身ではなく複数の土を混ぜて使っているのです。近々新しい土錬機が来るので、今使っている土錬機最後の仕事かもしれません。自分と懇意にしている陶芸業者から連絡があって、いい...
  • 若林奮「Dog Field」展
    多摩美術大学美術館で開催されている故若林奮先生の「Dog Field」展は、彫刻数点と多くのドローイングによって構成された個展です。自分は昔から若林先生の個展であれば必ず見に行っていました。若林先生を「先生」と呼ぶのは、...
  • 鑑賞から生まれるコトバ
    「瀧口修造全集Ⅴ」(みすず書房)には、作家の個展や出版等に寄せる滝口の文章が掲載されています。それは通常の美術評論として書かれたものや、作品鑑賞から生まれ出た詩的なコトバも数多くあります。そうしたコトバは、実際の展覧会を...

Comments are closed.