週末 酷暑の工房

毎年この時期、空調のない工房は大変な暑さの中での作業を強いられます。大学生の頃から私は彫刻科のアトリエにおいて、厳しい環境の中で制作をしてきました。素材によっては野外だったり、工場のような広い空間だったりして、これは仕方がないようなところもあって、数十年の間に過酷な条件に身体が慣れてきたと言ってもよいと思います。身体が丈夫な者が彫刻家として生き残れるのかなぁと思ってしまうのですが、確かに周囲を見渡しても師匠や先輩諸氏は屈強な人が多いかもしれません。私は自分ではそんなに頑丈な人間ではないと思っていますが、30代から40代にかけて借りていた作業場でも、現在と似たような環境であったことを鑑みると、病気もせずにやってこられたことは、丈夫な自分に産んでくれた親のおかげなのだろうと思うようになりました。慣れのせいか酷暑の中での作業は結構進みます。額に汗して陶土と格闘していると、再びやってきた例年の感じに妙な安心が得られるのです。ただし、作業が一段落した後の疲労度が昔と違います。これは加齢のせいなのか、昔のように根性論で語れないものがあって、ちょっぴり寂しくなります。とくに工房から自宅に帰ってから疲労が顕著に出てしまいます。胃腸の具合が悪くなったりすると、少し前まではそうではなかったなぁと思っています。体力維持のために昼ごろは近隣のスポーツ施設に行って水泳をしてきました。水泳をすると身体がどのくらい疲れているのかが分かります。自分の意識と体調はやや異なるのが不思議なところです。今日はそれほど疲れた感じはなかったのですが、水泳の後で工房に篭って、精一杯彫り込み加飾やタタラを掌で叩いて数点準備したのが身体に応えたみたいです。工房には最近若いスタッフが来ています。今日は女子が2人いました。若返りがあって今は10代の子たちがいますが、私は彼女たちの熱中症を心配していました。私は数十年こんな環境で制作をしていますが、彼女たちは普段は空調の効いたところで制作していると思われるからで、工房の暑さは相当身体に応えているのではないかと察しています。夕方それぞれの家の近くまで車で送っていきました。

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