猫の教訓
2017年 2月 3日 金曜日
先日、朝日新聞の天声人語に猫に関する記事が掲載されていました。我が家にも猫がいるので共感をもって読みました。作家内田百閒も猫好きだったようで、野良猫を飼っていたようです。天声人語から引用いたします。「『恩のやり取り、取り引きは人間社会で間に合つてゐるからノラには御放念を乞ふ』(『ノラや』)。しかし老作家の情は深く、猫が行方知れずになると仕事も手につかなくなる。」猫は人に媚びない、恩を感じるそぶりがないところがいいと内田百閒先生は仰っています。作家、画家、彫刻家等芸術家に猫が人気なのは、人の言いなりにならないマイペースなところが、自分の生き方と通じるモノがあると思う人が多いためではないかと考えるところです。私は二足の草鞋生活なので、一方の仕事では管理社会の中で雁字搦めになって、部下を管理する立場でいます。まさに猫の生き方の真逆です。また一方の仕事は自由気儘が基本の芸術家ですが、作品を個展の期日までに作り上げるため、徹底した自己管理をしています。それはウィークディの仕事より厳しい条件を課していて、週末は病気になる余裕すらありません。だからこそ勤務が終わって自宅に帰ると、ソファに横たわっている飼い猫トラ吉を見るにつけ、こんな自堕落な生活もいいなぁと思ってしまうのです。天声人語に「猫のマイペースな姿には『自立を失わず人に頼るべし』の教訓があるという。猫好きでなくてもときに彼らの気持ちになってみるのは悪くない。意外と深いかもしれない。」とありました。猫を見習うことも人間らしさを取り戻すために必要かなぁと思うこの頃です。
関連する投稿
- ポートフォリオについて ポートフォリオとは何か、職種の課題として市の全体会議に出すために私に課せられたもので、人材評価に使われるが故に、その定義をしておこうと現在私が取り組んでいる媒体です。後輩の彫刻家によると大学の講義で […]
- 生涯学習としての芸術活動 生涯学習とは何か、昭和56年の中央教育審議会答申を紐解けば「人々が自己の充実・啓発や生活の向上のために、自発的意思に基づいて行うことを基本とし、必要に応じて自己に適した手段・方法を自ら選んで、生涯を […]
- 時間刻みの生活について 芸術家は自由な時間の中からインスピレーションを得て、それを具現化する仕事だという認識が、私は学生時代からありました。亡父は造園業、祖父も先代も大工の棟梁という職人家庭に育った自分は、自ら決めた時間で […]
- 「作ることは、壊すこと」 今朝、職場に届いていた朝日新聞を捲っていたら、表題の小欄が目に留まりました。生物学者福岡伸一氏が書いたもので、「伊勢神宮と法隆寺、どちらが生命的だろうか?」という唐突な冒頭の文に誘われて、つい読んで […]
- 2018年 元旦の風景 2018年になりました。新春のお慶びを申し上げます。今年もよろしくお願いいたします。昨年も書きましたが、早朝、刻んだ餅と油揚げを半紙の上にひとつまみ置き、小さな稲荷の祠に供物として捧げることから、我 […]
Tags: 日常生活, 芸術家
The entry '猫の教訓' was posted
on 2月 3rd, 2017
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.