「夢の仕事」(c)まとめ

「夢解釈」(フロイト著 金関猛訳 中央公論新社)第六章「夢の仕事」の(c)「夢の描出手段」のまとめを行います。「夢の描出手段」は割と長い論文なので、これひとつだけでまとめます。「私たちは、『もし』、『なぜなら』、『あたかも』、『にもかかわらず』、『あるいは』といった接続詞、そしてその他もろもろの前置詞なしに文も言辞も理解できないのだが、夢においてこれらはどのように描出されるのだろうか。~略~(夢は)こうした論理関係を描出する手段は有していないとまずは答えねばならない。~略~夢がこうした表現能力を欠くのは、夢が作られる元となる心的素材のせいであるにちがいない。絵画や彫刻のような造形芸術は、言辞を用いることのできる詩と比べると、確かにこれに似た制限を受けている。そして、この場合も、絵画や彫刻にそうした表現能力が欠如するのは、それらの芸術が何かを表現しようと加工するのに用いる素材のせいだ。」論文の中で描出手段の動機となる文章を引用しました。それに続く展開は事例を挙げて研究することに大半を費やしています。フロイト自身の夢による考察やフロイトが担当した患者からの資料提供もあって、夢の描出が覚醒時では考えられない方向へ行くこともあると論じています。夢という曖昧な分野に目を向けた本論は、読んでいると虚を突かれたようでいて、妙に納得できる部分もあります。夢の内容に圧縮があったり、ずらしがあったり、欲望充足があることに、自分を振り返ってみて、改めて気づきました。

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