美術家たちの「南洋群島」展
2008年 5月 6日 火曜日
東京の町田市にある国際版画美術館で表記の展覧会をやっていたので見に出かけました。「南洋群島」という聞き慣れない名称は、赤道付近の島々のことで、第一次大戦後にドイツ領だった群島を日本が統治することになり、当時の美術家も彼の地に出かけ、作品を残したことが本展の展示内容になっています。ちょうどゴーギャンが行ったタヒチを連想させ、いずれの邦人美術家も島の風物を描いていました。土方久功、杉浦佐助、儀間比呂志の師弟3人が展示の中心となっていましたが、師弟といっても作風の影響は無く、3人3様の表現方法があって、当時の日本美術界の窮屈さからは程遠い自由な雰囲気を感じました。ただ、時代の影響があると思われ、先達のゴーギャンに比べると、日本が大正から昭和初期にかけて戦争の狭間に置かれた状況のせいか作品が多少暗く感じられました。展覧会に行く前は、明るい素朴さに溢れている作品をイメージしていたので、時代の風潮を纏った作品の数々に、邦人ならではの生真面目さを感じてしまいました。 Yutaka Aihara.com
関連する投稿
- 「マーク・マンダースの不在」展の図録から 先月の13日(火)に東京都現代美術館で見た展覧会の図録が郵便で送られてきました。展覧会についての自分の感想は既にNOTE(ブログ)にアップしていますが、「マーク・マンダースの不在」展について、自宅に […]
- イサム・ノグチ 日本での活躍 「石を聴く」(ヘイデン・ヘレーラ著 北代美和子訳 […]
- 東京駅の「きたれ、バウハウス」展 先日、東京駅にあるステーション・ギャラリーで開催中の「きたれ、バウハウス」展に行ってきました。バウハウスとはドイツ語で「建築の館」という意味です。1919年に建築家ヴァルター・グロピウスによって設立 […]
- 週末 過密な鑑賞スケジュール やっと週末を迎えました。年度末が近づきウィークディの仕事が少しずつ多忙になってくると、週末が楽しみでなりません。今月に入って美術展に行っていないので、今日は行きたい展覧会をチェックして、丸一日かけて […]
- 上野の「奇想の系譜展」 先日、東京の4つの美術展を巡った時、私が一番身近に感じた展覧会は、東京都美術館で開催中の「奇想の系譜展」でした。嘗て読んだ美術史家辻惟雄氏による著作「奇想の系譜」は、日本美術史に斬新な視点を与え、そ […]
Tags: 作品, 展覧会, 書籍
The entry '美術家たちの「南洋群島」展' was posted
on 5月 6th, 2008
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.