見せない彫刻

故若林奮先生の作品の中に、ほとんど土中に埋めてしまって僅かしか見えない彫刻があります。府中美術館の野外にある鉄の作品も上の部分しか見せていない彫刻です。それを見ると鑑賞者は唖然としますが、自分にはその考え方が多少理解できます。「存在」という概念は見えているものばかりではなく、見えていないものにもあると思うからです。以前から自分のイメージに度々立ち現れてくる作品は、壁体の中に陶彫を埋め込んだもので、砂か漆喰で覆い隠した陶彫作品が一部見えていて、鑑賞者に全体像をイメージさせるという作品です。陶彫は、だからといって全体をしっかり作る予定でいます。見せ方ではなく、彫刻のあり方を考える作品を作ろうと考えているからです。それは床に置くものでも壁を使ってもいいのですが、自分のイメージには壁が出てきます。ギャラリーの壁面全体を使うような作品を考えているのです。実現できるかどうかわかりませんが、デッサンか雛型で残しておこうと思っています。

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