見せない彫刻
2009年 5月 9日 土曜日
故若林奮先生の作品の中に、ほとんど土中に埋めてしまって僅かしか見えない彫刻があります。府中美術館の野外にある鉄の作品も上の部分しか見せていない彫刻です。それを見ると鑑賞者は唖然としますが、自分にはその考え方が多少理解できます。「存在」という概念は見えているものばかりではなく、見えていないものにもあると思うからです。以前から自分のイメージに度々立ち現れてくる作品は、壁体の中に陶彫を埋め込んだもので、砂か漆喰で覆い隠した陶彫作品が一部見えていて、鑑賞者に全体像をイメージさせるという作品です。陶彫は、だからといって全体をしっかり作る予定でいます。見せ方ではなく、彫刻のあり方を考える作品を作ろうと考えているからです。それは床に置くものでも壁を使ってもいいのですが、自分のイメージには壁が出てきます。ギャラリーの壁面全体を使うような作品を考えているのです。実現できるかどうかわかりませんが、デッサンか雛型で残しておこうと思っています。
関連する投稿
- 7月末に考えたこと 今月の総括として個展の開催がありました。初めて木彫作品をギャラリーせいほうに持って行きました。4回目の個展でしたが、懐かしい方々に来ていただき、またご感想ご批評もいただきました。真摯に受け止めていき […]
- 辻晋堂の彫刻 八木一夫のオブジェ焼に関する書物を読むと、そこにちょいちょい辻晋堂という名が出てきます。彫刻家辻晋堂は亡くなられて随分経ちますが、ギャラリーせいほうで個展をやっていた作家でした。自分は学生時代に個展 […]
- 再開した展覧会を巡り歩いた一日 コロナ渦の中、東京都で緊急事態宣言が出され、先月までは多くの美術館が休館をしておりました。緊急事態宣言は6月も延長されていますが、美術館が漸く再開し、見たかった展覧会をチェックすることが出来ました。 […]
- 週末 久しぶりの美術館巡り 作品の制作工程が厳しい中、3月になって初の美術館巡りをしました。東京に出かけていくのは久しぶりでした。ギャラリーせいほうにも立ち寄って7月個展の打ち合わせを行いました。まず最初に訪れたのは東京上野の […]
- 夏季休暇 美術館巡り 今日と明日の2日間夏季休暇を取っています。先週の2日間の夏季休暇は菩提寺の墓参りと長野県麻績にいる彫刻家池田宗弘先生宅にお邪魔して2日間を過ごしました。今回の夏季休暇の予定では、今日は都心の美術館巡 […]
Tags: ギャラリー, 作品, 彫刻, 芸術家, 陶彫, 雛型
The entry '見せない彫刻' was posted
on 5月 9th, 2009
and last modified on 1月 30th, 2010 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.