「ゴーギャン オヴィリ 一野蛮人の記録」の読後感
2012年 1月 17日 火曜日
昨年暮れから通勤鞄に入っている「ゴーギャン オヴィリ 一野蛮人の記録」(ゴーギャン著 岡谷公二訳 みすず書房)をやっと読み終えました。ずいぶん長く携帯していた書籍です。当時フランス領だったタヒチを初めとする島々で、彼の地を統治していた憲兵と原住民の間に入って、ゴーギャンはさまざまな感想や思索に耽り、また白人社会に抗議を繰り返していた様子を伺うことができました。島の生活がどんなものであったのか、ゴーギャンの眼を通して具体的に語られていて興味は尽きません。ゴーギャンの色彩や画面構成に高校時代から惹かれていた自分は、彼の地に行って身体を張って培ってきた表現力に感銘するばかりです。ただ、本書は芸術家としてのゴーギャンばかりではなく、当時の社会や西欧文明に対する批評家としてのゴーギャンをも感じさせます。こうしたゴーギャンの文献が表に出るのには相当な時間が必要だったようですが、在りのままのゴーギャンを捉えたいという編者の意思が感じられる一冊だと思いました。また、明日から新たな書籍の扉を開きたいと考えます。まだまだ自宅の書棚に眠っている書籍は数多くあります。
関連する投稿
- 「中空の彫刻」読後感 「中空の彫刻」(廣田治子著 […]
- 「グロテスク」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第3章 彫刻的陶器への発展と民衆的木彫の発見(1887末~1888末)」に入り、今回は「4 […]
- 「状況-ファン・ゴッホとの関わり」について フランス人の芸術家ゴーギャンの生涯の中で、劇的とも言える一幕があり、そのドラマティックな事件がゴーギャンを美術史とは関係なく、世界的に有名にしたと言ってもよいと思っています。それはオランダ人の画家フ […]
- 「絵画、彫刻の自律性の追究」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の第一部「19世紀における『画家=彫刻家』と『芸術家=職人』の登場」の第1章「画家と彫刻家」の「3 […]
- 「状況-マルティニーク島滞在」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中で、今日から「第3章 彫刻的陶器への発展と民衆的木彫の発見(1887末~1888末)」に入ります。今回は「1 […]
Tags: 書籍, 画家, 芸術家
The entry '「ゴーギャン オヴィリ 一野蛮人の記録」の読後感' was posted
on 1月 17th, 2012
and last modified on 1月 17th, 2012 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.