「発掘〜遺構〜」運搬

昨日準備しておいた「発掘〜遺構〜」を、今日は撮影場所まで運搬しました。昨日に続いて手伝いが居ないので、額に汗してレンタルトラックで3往復しました。台座はまだ出来ておらず、鉄製のスタンドを仮の台座としました。台座は現在制作中の「構築〜起源〜」の一部を使うつもりでいます。「発掘〜遺構〜」はひとつひとつの部品が大きく、また重いので箱は木箱にしてあります。ダンボールでは壊れてしまう心配があります。「発掘〜遺構〜」は混在した都市空間をパノラマのように展開する作品です。その都市空間を見る人の視点に合わせたいので高さ90センチほどの台座が必要なのです。昨日からきつい仕事ばかりで身体がヘトヘトです。明日からの公務に差しさわりがあるかもしれないと思うほどです。             Yutaka Aihara.com

「発掘〜遺構〜」準備開始

今年7月に予定している個展に出品する「発掘〜遺構〜」は6畳大のスペースを必要とする今までで一番大きな作品です。集合体で構成されているので、部品を梱包した箱がまるで引越し荷物のように自宅の車庫を占領しています。20日にカメラマンが来て撮影をするので、今日は部品を倉庫から出し、それぞれの番号確認や撮影場所に運搬するための準備を行いました。今日は手伝ってくれる学生が一人も居なかったので、自分一人で倉庫から自宅の車庫まで多くの箱を運ばなければなりませんでした。たちまち身体中の筋肉が悲鳴を上げてしまいました。おまけに今日は陽気が暖かったので、夏の時期のように額から汗が流れだし、Tシャツを何枚も替えました。彫刻は身体が頑丈でないと出来ない創作だなとつくづく思います。明日はこれを撮影場所に運搬します。トラックをレンタルしています。明日も元気を出さなければならない一日になりそうです。                  Yutaka Aihara.com

ぼんやりした時間

公務に創作、あれもこれも忙しくて、ぼんやりと過ごす時間がありません。眠る前のひと時がホッとできる時間帯です。この日課としているブログを書き終えれば寝ていいと自分に言い聞かせています。それでも夜になって、まだブログもRECORDも描けていないのに思考が停止してしまう時があります。ぼんやりした時間を過ごす気持ちよさに、仕事をやる元気が負けてしまい、うつらうつらしてしまうのです。今もちょうど11時近くになって、思考が途切れそうです。明日は週末です。そろそろ図録のための撮影が近づいていて、その準備に追われる一日になりそうです。暖かくなってきた春の陽気のせいで、身体がだるく感じられますが、週末は再び身体と心に鞭を打って頑張ろうと思っています。                    Yutaka Aihara.com

ヴェニスの路地散策

閉塞感のある空間の面白さは路地にあると思います。その中でもとりわけ楽しい街はヴェニスでしょう。滞欧時代に数回訪れたことのあるお気に入りの街です。何と言っても迷路のように入り組んだ路地を歩くと、舞台に出てくるような広場が現れ、運河の橋も現れ、お洒落な商店があったりします。巨大な野外彫刻の中を歩き回る感覚です。壁の色も剥げ落ちて、いい感じになっています。水の都とは言いますが、自分にとってヴェニスはまさに路地の都、迷路の回廊、都市というタイトルのついたオープンギャラリーなのです。上を見ると石造りの建物に切り取られた空がぽっかりしていて、街の閉塞感を忘れさせてくれます。石畳のデコボコ感はゆっくりした散歩にちょうどいいのです。また夜の路地は郷愁に満ちて、ヒタヒタという水音とともに不思議な空間に誘ってくれます。                   Yutaka Aihara.com

洞窟の空間に思う

前のブログに閉塞された空間の魅力について書きました。閉塞された空間の規模が大きくなったものが洞窟です。自分が幼かった頃に家の近くにあった小川が流れる小さなトンネル。20代の頃トルコの旅先で体験した地下都市。日本各地にある鍾乳洞。いずれもそこに行って洞窟を見つければ必ず入ってみたくなるのです。空間が限定され、そこにある空気の容量まで感受できる面白さがいいと思っています。がらんどうの作品の中に入っているような感覚です。ただし閉所が苦手な自分は長くは居られませんが、洞窟紛いの居酒屋は大好きで、雰囲気がいいと長居も苦になりません。いずれ洞窟を使ったギャラリーでもできないものかと願っています。そうしたギャラリーがあれば個展をしてみたいものです。                  Yutaka Aihara.com

イベントは活性剤

職場で大きなイベントがありました。自分はその運営にあたりました。公務でのイベントもそうですが、個展のオープニングもイベントです。そうしたイベントは人を活性させると思います。自分も何かにけじめをつける思いで参加しています。イベントは見る側より運営する側の方が断然面白いと思います。大変な労力がありますが、そのぶん反応があって得るものが大きいと感じます。来月は人事発表があり、出会いと別れが待っています。これもイベントです。7月には個展のオープニングがあり、慣れているとはいえ今回の反応が気になるところです。またブログを使って宣伝させていただきます。その節はよろしくお願いします。                 Yutaka Aihara.com

HPに「OTHER」アップ

陶彫ランプシェードのことをよくブログに書いています。今日、ホームページに陶彫ランプシェードや球体オブジェや小物を掲載したページをアップしました。「OTHER」というタイトルをつけています。その中の「骨の箸置き」は価格も載せています。こうした小物をこれからも作っていこうと思っています。自分は器や日用品はほとんど作ったことがありません。栃木県益子や茨城県笠間に器作りの友人がいるのにも関わらず、どうしたものか器を作らずにきました。自分にとって陶芸は彫刻の表現のひとつで、陶芸として作品を考えることはしていないのです。使いやすい器とか、用途のある美とかは自分にとって未知の世界です。これも造形の手段として、これからやってみようと思っています。さしずめ「OTHER」はその範疇に属する作品をまとめてお見せする窓にしようと考えています。ホームページにはこのブログの最後にあるアドレスをクリックすると入れます。よろしくお願いします。                               Yutaka Aihara.com

素材を求めて…

陶彫ランプシェードの照明を設置するための台座を求めて近隣の材木店に行きましたが、ぴったりする木材が見つかりませんでした。前に作った「街灯」2点も「壁灯」も新木場まで出かけて木材を選んできたので、今回も時間を見つけて新木場に行くより他はないと思いました。とくに「壁灯」の壁の部分は縄文杉の板材を使っています。光を当てることで木目が美しく輝くような効果を狙ったものです。今日も杉材の柱を3本彫りましたが、木は種類によって出来上がりの雰囲気がかなり左右されると感じています。一昨年は木曽まで出かけて木材をいろいろ見て周りましたが、その土地や風土に合った木材と生かし方があって考えさせられることもありました。陶土も同じです。自分は栃木県益子にある店から取り寄せていますが、陶土は土練機にかけてブレンドして使っています。作品の内容によって素材を考えながら、また試しながら選んでいくことは大切なことです。           Yutaka Aihara.com

週末の多忙な制作

週末は制作に追われています。普段の公務を忘れ、頭を切り替えて創作に没頭しています。この頭の切り替えは、昔の自分に比べると本当にうまくなったと思います。二束の草鞋を履いているので、速やかにスイッチを切り替えるのは大切で、ウイークデイの仕事をいつまでも引っ張っていると自分の好きなことがやれません。そこで週末になると創作上のやりたいことが溢れていて、休む間もなく動き回ることになります。今日は「街灯ーC」「街灯ーD」「壁灯ーB」の窯出しをしました。先月から作っていた陶彫ランプシェードの連作で、まだ照明は作っていませんが、陶彫の部分だけはカタチになりました。併行して「構築〜起源〜」の柱の荒彫りを進めています。1日3本のペースで彫っています。土と木、いずれも自然の恵みから恩恵を受けた素材が自分に活力を与えてくれています。 Yutaka Aihara.com

春眠暁を覚えず…

夜が明けるのが早くなり、職場に出かける時間は薄紫の大気が立ち込めています。しばらく前は真っ暗だったのに…。季節の変わり目で体調を崩しやすいことは充分わかっていても、また結構無理をしているのではないかと自戒しながらも早朝6時には家を出ています。朝の気持ちよさは格別で、白々夜が明けてきた頃に、ほんのり咲いている梅を見るのが楽しみでもあります。しかしながら、この季節は何と言っても眠さがとれず、通勤時間に電車で本を広げても内容が頭に入ってこない時がしばしばあります。車で通勤する時はなおさら眠気に注意しなくてはなりません。春眠暁を覚えず。早朝から仕事するのはなかなかつらいものです。でも気候が緩んでいくと通勤する人々の面持ちも幾分和らいだ感じがしています。              Yutaka Aihara.com

「RECORD」は正方形

毎日描いているポストカード大の連作「RECORD」は早2ヶ月目に入っています。今月のテーマは「正方形」。画面のどこかに正方形を配置し、構成要素を加えて作品に仕上げています。とくにこの2週間は小さく画面分割して淡い色彩を施しています。タイルが並んだようなイメージです。リピテーション(繰り返し文様)は時に単調になりますが、構成の工夫でなんとか画面に変化をつけています。正方形は展開に富む図形だと改めて認識しました。曲線による分割でも正方形を加えると、曲線と合理的な直線の対比が生まれて、さらに曲線が強調されるような感じがします。今月いっぱいは正方形に付き合う予定でいます。                     Yutaka Aihara.com

地層は巨大なアート

いつぞやのブログに土壁の魅力について書いた記憶があります。今回はさらに大きな地層について書きます。剥き出しになった地層は堆積岩が時間を封じ込めて、それがフンデルトワッサーの絵画のように帯状にうねっていて、見飽きることがありません。そこに感じるのは人間の作為が及ばない自然の姿です。美しいと感じるのは私だけではないと思います。こんな地層の有様をなんとか自分の造形要素に取り入れられないかと考えたことがあります。でも地層そのものがアートであり、手を加えない美がそこに存在するので、それ以上のことは出来ないと思いました。剥き出しの地層は落石があって危険なのか道路沿いはコンクリートで覆ってしまわれています。これもアート?と思いながら新しく森を切り崩して出来た道路を車で走ることがあります。どこに美を感じるかは個人の趣向によりますが、美しい地層の姿をずっと見ていたいと思っています。                    Yutaka Aihara.com

閉塞された空間

先日行った横須賀美術館の「若林奮展」に地下鉄の構造を示したデッサンがありました。地中に埋もれている空間には自分もかなり興味があります。幼い頃、家の近くの田んぼで遊ぶうち、脇に川が流れていて、その川を遡っていったことがありました。すると川はコンクリートの筒状のトンネルの向こうから流れていたので、どんどん奥に入っていったら闇に支配された空間に恐怖を覚え、光を求めて引き下がってしまった思い出があります。まさに閉塞された空間。自分は閉所恐怖症ではなかったはずですが、どうやらその頃から閉ざされた小さな空間にいると耐えられなくなる性分になったようです。でも興味は尽きず恐怖体験と造形思考はまるで異なっていて、閉塞された空間を創造したいという欲求があります。何故でしょうか。自分でもよくわかりませんが、地下鉄にワクワクしたり、外国の地下墓地や地中都市にドキドキ胸を躍らせていたりします。長く居られないくせに、そこに造形の面白さを感じるのは不思議です。                    Yutaka Aihara.com

謎めいたタイトル

横須賀美術館の「若林奮展」を見て、その彫刻のタイトルに注目しました。「所有・雰囲気・振動」とか「長い山脈に付属する振動」とか作者にしかわからない意味を込めてタイトルにしています。造語の場合は造語に至った思考を説明すれば、不可解なタイトルが多少理解できると思います。造形はコトバを従属させるものではなく、コトバと併行して形作られることもあると考えます。タイトルにはそんな謎解きがあってもよいと思うのです。作家によっては詩のようなタイトルをつける人がいます。タイトルを集めると散文詩のようになって、造形作品の他に作品がもうひとつあるような具合です。美術は時に詩的であったり、また哲学的であったりするので、こうした遊ぶ?要素が出来て、それはそれで楽しいものです。謎めいたタイトルにあれこれ思いを巡らせるのも一興かなと思います。             Yutaka Aihara.com

横須賀美術館「若林奮展」

今日も昨日に続き、杉材を3本荒彫りして作業場を後にしました。夕方、高速道路を飛ばし、横須賀まで行きました。現在、横須賀美術館で開催している「若林奮 VALLEYS展」を見るためです。かなりまとまった彫刻や素描や版画が展示されていました。自分が学生時代に見た「振動尺試作」もありました。美術館の外に設置されているVALLEYSの模型もありました。相変わらず考えを巡らせてしまう作品群を目の前にして、この不思議な雰囲気に何度となく魅了されてしまうのは何故だろうと思いました。作品そのものを見るのではなく、作品が動機や思考を伝える装置であるのが、その理由のひとつだろうと思うのです。物事に対する考え方の提示と言ってもいいのでしょうか。謎が多いところもあって、どんな解釈をしたらよいのか思案してしまいます。そこが魅力なのかもしれません。          Yutaka Aihara.com

3月初めの勤勉な週末

3月になりました。陽気はしだいに暖かくなってきています。今日は創作活動に明け暮れた一日でした。杉材を3本荒彫りしてから、乾燥した陶彫に化粧がけをしました。朝から夕方まで休みなく作業し続けて、帰宅してから「RECORD」に取り掛かりました。夜は少々時間を空けてスポーツクラブに行って身体を動かしてきました。普段公務が忙しいので、週末になると限られた時間の中であれもこれもしたいと考えてしまうのです。花粉症のくしゃみをしながら、右往左往している落ち着きのない自分がいます。春になると創作に向けたテンションが上がるらしく、立ち止まることなく作業に没頭してしまうのです。深夜の時間になってようやく頭と身体のスイッチがOFFになりました。明日もきっと今日の延長です。このままやれる時にやっておこうと思っています。

4年に1回の29日

今年はうるう年にあたり今月が29日まであります。「RECORD」は今年は366点。今日その1点を作りました。「0229」とナンバーをつけましたが、このナンバーが再び登場するのは4年後になります。2月の締めくくりはやはり「RECOD」で、今月のテーマである正三角形からやっと解放されるという思いです。同じカタチで1ヶ月続けるのはつらいものがあります。でもせっかく乗りかけた舟なので最後まで頑張ろうと思います。明日から3月で、朝が明けるのが早くなりました。春はそこまでやってきてると感じます。花粉症のくしゃみも出始めました。花粉症にはつらい季節の到来となります。                           Yutaka Aihara.com

芸術家が猫を好むわけ

昨日のブログに書いた彫刻家池田宗弘先生を初め、画家藤田嗣治、文豪夏目漱石など、猫を表現媒体にする芸術家は多いと感じます。同じペットでも犬やウサギに比べるとどうでしょう。古今東西の芸術家の作品テーマで、そんな調査をしてみたら楽しいのではないかと思います。猫が芸術家に好まれる理由はいくつかあると思いますが、人間に従順な犬に比べると猫は自由気儘、それでいて適度な距離をもって人間のそばにいるという性格によるものが大きいのではないでしょうか。よく見ると結構聡明な面構えをしている猫もおります。夏目漱石が小説で猫に語らせた世相や風刺もわかるような気がします。古くはエジプトの頃から猫は造形美術のモデルにされ、その動きは現代のミュージカルにもなりました。猫の彫刻的な美しさや地を這うような動き、狡猾な雰囲気などが芸術家に好まれる所以だろうと思います。   Yutaka Aihara.com

池田宗弘宅の猫たち

自分の30年来の師匠である池田宗弘先生は、猫の群像を真鍮直付けの彫刻で表現しています。真鍮を溶接して作る彫刻は、ちょうどジャコメッテイのように肉付けをぎりぎりまで削ぎ落として構造をむき出しにしたままの状態で仕上げています。猫の姿態はそうした表現によく合っています。池田先生は長野県に住む前から、東京の秋津のアトリエで猫を飼っていました。しかも猫はたくさんいて、飼うというより放し飼いにして、猫を観察しているような按配でした。当時は「ここにネコを捨てないで」という張り紙がありました。猫がたくさんいる彫刻家宅に猫を捨てていく人がいるとか…。今も池田先生は長野県で猫に囲まれて暮らしています。外に置かれた猫の彫刻の周囲をホンモノの猫がうろうろしています。ただし、彫刻の猫はガリガリで骨ばっているのに対し、ホンモノは丸々と太っています。猫は常に痩せていていつも獲物を狙っている理想像と、日常のほんわかしたムードの猫のギャップが楽しい先生宅の一幕でした。                   Yutaka Aihara.com

池田宗弘・作「サーカス」

真鍮直付けで具象彫刻を作っている池田宗弘先生は、自分の大学時代からの師匠です。大学に入った頃、「毎日現代美術展」が都立美術館であって、そこで初めて池田先生の猫の群像による作品に出会いました。塑造を学んでいたにも関わらず、自分の中に抽象思考がありましたが、池田先生の作品に触れて、まだまだ具象で学ぶべきものがあると感じました。池田先生の作品は細い線による構成的な要素があります。この軽やかさは真鍮を素材にしていることが大きいと思います。とくに初期の「サーカスシリーズ」は綱渡りをする人物や車輪に乗る人物など、風に揺れるほどの危うさがありながら、造形としてはしっかりした構成があって、大きな空間を感じます。サーカスを演じる人物には首がありません。首を作ってしまうと、鑑賞者は顔の表情に注目してしまうので、あえて首を作らずに全体の構成を見せる配慮をしています。首がないことで俗っぽさから離れ、造形としての面白さが前面に出ていると感じます。                          Yutaka Aihara.com

スイミング&スイミン

仕事帰りにスポーツクラブに立ち寄って、しばらく泳いでから帰宅することがあります。その夜はよく眠れます。公務と創作を両立させていることもあって、一日の仕事量がめいいっぱいで、何もしなくてもよく眠れるのですが、水泳をした後はぐっすり眠ってしまいます。夜更かしなんてとても出来ません。学生時代はよく深夜番組を見たり聴いたりして、創作のことをあれこれ考えていました。一日が昼夜逆転している頃もありました。そんなことがあって、今が成立しているのかもしれませんが、創作をしているのに毎日が分刻みに動いているのが不思議です。水泳と創作は頭の中では別の次元だと思うのですが、日頃トレーニングでもするように木を彫ったり土を練ったりしています。いつかゆっくりじっくり創作と向き合おうと思っています。されど今晩もスイミング&スイミンのパターンになって、そろそろ睡魔が襲っています。もう考えるのは止めておきます。             Yutaka Aihara.com

現代の茶室を考える

今晩のNHK番組「新日曜美術館」で取り上げられていた楽吉左衛門設計による新しい茶室の在り方に興味が湧きました。池の中に作られた水中に沈んだコンクリート製の茶室。コンクリートは黒の色素が混ぜられ、またアフリカ産の原石で周囲を巡らし、手漉きの和紙にも工夫が施された現代の茶室。素材をそのまま使うことへのこだわり。番組で自分もその考え方を学び、自分の彫刻を素材から考えさせられる1時間となりました。器であれオブジェであれ作品を取り囲む環境(建築)を自分で作ってみたいと私も常々思っています。作品が置かれる、また使われる場所を演出したい欲求は、ものづくりの作家であれば誰もが持っている欲求であると思います。そんな理想を求めて自分も制作を続けていると感じたひと時でした。          Yutaka Aihara.com

久しぶりの木との対話

久しぶりに鑿と木槌を持ちました。数週間前に試作を1本だけやっていますが、本格的に木を彫っていくのは今日からです。木は対話しながら彫るのがいいのです。木には板目や柾目があって、それを確かめながら彫り進むので上手に付き合いながら作業するという意味で「対話」というコトバが用いられるのでしょう。今回は杉材です。比較的彫りやすい素材ですが、年輪がはっきりしていて、彫ったカタチが見えにくいと感じました。とりあえず柱3本に荒彫りをやりました。一日2〜3本荒彫りをやっていくと、どのくらいの日程が必要か、仕上げの彫りにはどのくらいの時間がかかるのか、公務との兼ね合いを考えながら計画を立てることになります。まず7月までに42本。それから先は長い柱を数十本彫ろうと考えています。最終的な処理はどうするのか、どのくらいの場を想定して発表するのか、最初のイメージを確認しながらやっていくつもりです。

陶彫による「遺構」

今年の個展は6畳大の陶彫で「発掘〜遺構〜」と名付けている作品を出品する予定です。あらゆるカタチが混在する都市が無人化した情景を陶彫の集合体で表現しています。いつも4月にやっていた個展の開催時期を、今年は7月に変えました。大きさで言えば今回の個展に出品する作品が今までで一番大きいのです。都市の模型のような作品です。陶彫の部分はもう出来上がっていて、テーブル台になる部分を現在考案しています。つまり、木彫の新作「構築〜起源〜」をこれから作り始めますが、この柱の何本かが「発掘〜遺構〜」に使う予定なのです。これはもう渾然一体となる作品で、個展にはこれ1点だけでかなりのスペースを占めるかなと思います。こんなことを頭の片隅に入れつつ、明日は木を彫っていく予定です。

新作の素材購入

杉材が42本、自分の手許に届きました。これは長さ90センチの柱ですが、さらに長い柱が数十本必要です。新作「構築〜起源〜」を作るための素材です。素材を見ると何だか嬉しさでいっぱいになります。これは何度経験しても同じです。素材を前にして、あれこれ考えたり感じたりするのがいいのです。彫刻は頭の中のイメージとそれを具現化するための素材が一致しているかどうかはとても重要です。作家によっては初めに素材を見てから作品をイメージする人もいます。自分は陶土と木材を扱っているので、自分のイメージがどちらが相応しいのかを考えて素材を選ぶのです。今年は木材だけの作品と、木材と陶土を組み合わせた作品の両方を考えています。今月は陶彫による「街灯」「壁灯」の連作が中心ですが、来月は木彫による「構築〜起源〜」に取り組まなくてはなりません。杉材の香りを嗅ぎながら、そんなことを考えた一日でした。

桂離宮・松琴亭の市松模様

宮本健次著「桂離宮〜ブルーノ・タウトは証言する〜」によると、ブルーノ・タウトは松琴亭の襖にある青と白の市松模様を「ほかのところだったら堪らない悪趣味に堕するだろうと思われる…」という感想をもっていたようです。自分は昨年夏に桂離宮を訪れ、青と白の市松模様の襖に大変魅力を感じていたので、この感想は意外でした。確かに西洋的ではありますが、今見るとこれは大変現代的で、自然を雛型にした全体の景観の中にあって、この抽象世界は新鮮な驚きでした。花鳥風月のような襖絵ではなく、襖を大きめの市松模様にしたことで、他の庭園や離宮とは違う趣きを桂離宮はもっていると思っています。書院郡外観にも柱と白壁の絶妙な割合があって、これにも抽象世界が感じられました。現代の眼にも桂離宮が新鮮に映る所以かなと思っています。

ブルーノ・タウトの証言

宮本健次著「桂離宮〜ブルーノ・タウトは証言する〜」という書物を読み終えました。昨日ブログに書いた居間のテーブルに積まれた書物の1冊です。昨年の夏に桂離宮に出かけ、実際自分の眼で見て、その美しさを堪能した後に読む書物とすれば、なかなか良いものでした。ブルーノ・タウトはドイツ工作連盟にも関係したドイツ人建築家で、斬新な建築物や大掛かりな住宅の設計で知られています。ブログでも以前ドイツ工作連盟の開催した展覧会で「ガラスの家」を作り、話題になったことを書いています。そのブルーノ・タウトが日本に亡命し、桂離宮の美を発見したことは有名な話です。同著にある「日本は眼に美しい国です。」と述べられた賛美のコトバが印象的でした。自分も昨年の夏を思い出し、桂離宮の印象を記憶の中で辿り、ブルーノ・タウトのコトバと合わせてみたりしました。

書物という小宇宙

昔から読書が好きだったにも関わらず、最近は本を読んでいません。車通勤は読書時間を奪っていることは充分わかっているのですが、つい車で職場に行ってしまいます。毎朝「RECORD」を描き、昼間は公務に追われ、毎晩ブログを書いている生活が続き、読書時間が確保できずに読みたいと思って購入した書物が居間のテーブルに積んであります。週末は作業場に出かけて制作に没頭してしまうので、積まれた書物が無くなることはありません。いくら世の中が便利になって、知識を得るモノが他に出来ても、やはり自分にとって書物は小宇宙に旅立つ扉なのです。というのは、眼で文章を追ううちイメージが出来上がり、見えないモノを見て、空間を感じることが出来るからです。イメージする力はある種の訓練が必要だと思います。映像から得る知識や感性はイメージを頭で構築出来ないのではないかと思います。記憶の中から、自分なりのイメージを取り出し、文章によって膨らせていくことが、時としてやらねばならないと痛感するこの頃です。

スキュルチュール江坂

今日は大阪の道頓堀界隈にあるビジネスホテルから横浜に帰ってきました。大阪では主だった美術館に適当な企画展が見られなかったので、地下鉄御堂筋線に乗って、郊外の江坂まで出かけ、そこにある彫刻専門のギャラリーを見てきました。「アメニテイ江坂」というスポーツクラブがある広大な土地に、そのギャラリー「スキュルチュール江坂」はありました。煉瓦造りの瀟洒な建物で、ロダン、ブールデル、マイヨール、ムア、ジャコメッテイ、マリーニ、ザッキン、マンズー、ロッソといった近現代彫刻界の巨匠の作品が程よい空間に配置され、同時にアフリカの仮面も展示されて品のよい雰囲気を作っていました。野外にはマルタ・パンの大きな抽象作品があって、すっきりとした空間が演出されていました。小さいながら作品の質の高さにすっかり気分がよくなり、彫刻作品を堪能して来ました。          Yutaka Aihara.com

大阪・道頓堀へ…

今日は朝早くからブログを書いています。今晩は大阪に一泊するので、朝のうちにパソコンに向かっています。久しぶりの大阪です。2年前も職場の人たちと出かけ、国立国際美術館を見てきたり、道頓堀をウロウロ歩き回ったりしてきました。今回は美術館の展示替えがあって企画展はやっていないようです。でも道頓堀でたこ焼きを食べたり、法善寺横丁の夫婦善哉に寄ったり、「なんばグランド花月」を見てこようと思います。リフレッシュにはちょうどいい時期です。しばし仕事を忘れて、みんなで騒いで楽しむことも必要です。旅行は行くまでが楽しいのです。行ってしまえば、あっという間に終わるのですが、気分が変われば満足です。              Yutaka Aihara.com

ホームページ充実に期待感

この頃、公務が多忙をきわめていて苦慮する書類の作成に追われています。帰路も憂鬱になっていたら、ホームページをサポートしていただいている方から電話があって、自宅で打ち合わせを持つことになりました。2人が玄関に現れると、ホッとするような気分になります。さっそくこのホームページの新たに加える箇所を話し合いました。2人とはホームページ全体を構成してくれる女性とカメラマンの男性です。付き合いもだいぶ長くなりました。自分の意図するところを理解してくれて、さらに提案もしてくれて、何か創作にかき立てられるような気持ちになり、期待感でいっぱいになります。昼間の公務を忘れさせてくれる楽しい打ち合わせになりました。明日から職場の仲間と大阪に出かけますが、これもリフレッシュにはちょうどいいと思っています。また月曜から頑張るために今晩と今週末はちょっと休息です。 Yutaka Aihara.com