週末 5点目の陶彫成形と加飾
2021年 7月 4日 日曜日
今日が日曜日である意識が、仕事を退職をした私は既に薄れていますが、美大生と美大受験生が朝から工房にやってきていたので、今日が休日であることが分かります。この子たちはウィークディには学校に通い、週末には工房に通ってきているので、2人にとってものんびりした休みがないのだろうと思っています。雨が今日も降っていて鬱陶しい天候でしたが、それぞれの課題に真剣に取り組んでいる彼女たちを見ていると、こちらも負けてはいられない気分になります。忽ち工房には緊張感が張り詰めて、清々しい空気が漂います。私は来年に向けた5点目の陶彫成形と彫り込み加飾を終わらせました。今日作った陶彫部品は8点で構成されるもので、前に作った陶彫部品の倍の量でひとつのマッス(塊)にしていきます。曲面のある有機的な形態に、三角形を基本とした彫り込み加飾を施しています。曲面に三角形の文様を加えるというややアンバランスな世界を狙っていて、これが来年に向けてのちょっとした冒険になっています。ただ作品全体は崩壊している様子を表現しようとしていて、少しずつ全体を覆う空気感が見えてきました。陶彫部品のマッス(塊)が複数点在する庭園のような広場は何層にも重なっていて、崩れかけた敷石風の文様の下から新たな文様が垣間見えるような謎めいた空間を作ろうと意気込み始めました。「発掘~盤景~」の制作が佳境を迎えていた時に、苦し紛れに湧いてきた新作イメージを再度確認して、構築されたものと周囲が侵食されるように失われていくもの、その落差をどうしていくのか、当分イメージの具体化の変遷を経ていく必要がありそうです。それを紙面に落とし込んでしまうと、そこで動いていたイメージが停滞し、またさらにエスキースを書いてしまうと、完成形がほぼ出来上がってしまう恐れがあり、私はあくまでも頭の中で繰り返しイメージを辿り直す方法を採っています。今日も5点目の陶彫部品を目の前にして、これをどこにどう置くべきかを考える中で、イメージが茫洋と見えてきたのです。このイメージ更新と振り返りが楽しくて、日々工房に通ってきているようなものです。今日も夕方になって生真面目な女子たちを車で家まで送り届けました。