週末 イメージの具現化へ
2021年 6月 27日 日曜日
日曜日になり、いつものように美大受験生が工房にやってきました。彼女を見ていると、最近の予備校から出される課題が変わってきていると感じています。受験用の実技テクニックを教えるだけでなく、自分の本当にやりたいことやそれに伴う表現を求める課題が出されていて、受験生は混乱していました。私は大学に入ってから漸く自分を知り、自分のことを考え始めたのでしたが、今の受験生は大学で求められることを受験時代に求められていて、ちょいと時代が進んでいるのかなぁと思いました。確かに美大や芸大合格がゴールになってしまう学生がいて、大学で何をやっていいのか分からなくなる人もいます。美術系の学校に入るのは、そこで時間が与えられるだけのことであって、そこがスタートなのです。そこから本当の意味での自己研鑽が始まると言えます。私のように人体塑造を通して立体の何たるかを把握するために4年間費やした者が、その後の展開で自己表現に到達し、イメージを膨らませることが出来た事例もあります。私の自己表現は遅ればせながらの出発でしたが、回り道をして到達した世界観は堅牢で、数十年間も揺るぎないものになっています。今日は一日中、来年に向けた新作に関わっていました。まだ新作のイメージは漠然としていますが、構築物が点在する風景を思い描いていて、その構築物のひとつが具現化してきました。その構築物は4点を組み合わせて形成するもので、それらが点在する情景には、あたかも龍安寺の石庭のようなものが浮かんでいます。龍安寺の石庭は方形の壁に囲まれていますが、私のイメージでは周囲がぼやけてしまっていて、崩壊が進む状況はそんなところで表現できるかもしれません。ともかく今日はイメージの具現化に一歩進めることが出来ました。また明日から7月個展のための梱包用木箱作りを始めますが、今日は来年を見据えた新作に取り組んで、気分が高揚しました。