週末 新作の陶彫彫り込み加飾
2021年 6月 13日 日曜日
今日は朝から美大受験生2人が工房に来ていました。私が週末であるのを意識できるところは彼女たちが来ているかどうかだなぁと思っています。工房での作業は週末だからといって私には特別でなくなっているため、人の出入りがケジメになっています。今日は昨日の梱包作業とは打って変わり、来年に向けた新作の取り組みをやることにしました。創作活動は気分の高揚があり、一日が短く感じられます。新作はまず陶彫部品第1号を作るところから始めていて、現在はかなり大きめな陶彫成形に挑んでいます。陶彫は最終工程に焼成があるため、立体を無垢で作ることが出来ず、立体の内側は刳り貫いた空間を内包しているのです。つまりがらんどうです。そうするためにタタラを立ち上げ、内外から紐作りで補強をして立体の景観を保たせていると言えます。陶芸と違い、陶彫は無理を強いる立体であるために、乾燥の段階や焼成で罅割れが生じることもあります。古来、轆轤でひく器はつくづく割れ難い形態をしていて、理に叶った制作方法を採っています。それに比べて陶彫は土偶や埴輪に見られるように罅割れが頻繁に生じています。私の陶彫もその難しい条件を満たして成り立つ表現だろうと思っています。土偶や埴輪には表面に文様を彫り込んだものがあり、その加飾が作品の表現をいっそう高めているように感じます。私の陶彫も同じです。彫り込み加飾には立体としての構造作為はありませんが、立体の持つ方向性を決定する重要な役割があります。陶土表面を削ったり、部分的に彫り込んで、文様を浮き彫りにする作業で、これがあるために私はやや厚めにした陶土で成形をしているのです。成形が彫刻的作業であるならば、彫り込み加飾は工芸的作業です。今日は新作の彫り込み加飾にほとんど一日を費やしました。新作の文様は三角形を基調とするものに決め、彫り込みをした箇所のところどころに三角形の穴を開けました。この効果は立体に軽みを齎せ、イメージの源泉である崩れかけたカタチを表現として採り入れることになると考えました。夕方、受験生2人を家の近くまで車で送って工房を後にしました。