「第四章 天-仏法を守る多芸多彩な尊格」について

「仏像図解新書」(石井亜矢子著 小学館新書)の中で如来、菩薩、明王をヒエラルキーに従ってNOTE(ブログ)にまとめてきました。4番目に登場するのが天です。「『天』は、サンスクリット語で神を意味するデーヴァの訳語。この言葉は、天上界という宇宙を意味するとともに、天の住人すなわち神をもあらわす。天部の仏たちは、仏菩薩と人間の中間地点に住まっている。もと異教の神々に課せられた役割は、仏教そのものを守護すること。~略~かつてはヒンドゥー教の最高位だった神がいるかと思えば、悪神や悪鬼の類も、仏教に教化されたという物語が加えられて、同じ天部の所属になっている。世が世であれば決して席を同じにできない尊格が混在しているため、天部のなかにも上下関係がある。~略~天部諸尊はしばしば、集団となって活動する。四天王、十二神将や二十八部衆などは、ひとつの目的のために終結した、いわば”チーム眷属”。」代表的な天は16もありますが、ひとつずつ紹介していきます。まず梵天。「古代インドのバラモン教で、宇宙の創造神として君臨したブラフマー神が、梵天の前身である。仏教に迎えられてからも、天部諸尊の最高位を占める別格の存在だ。」次は帝釈天。「インド最古の聖典『リグ・ヴェーダ』には、雷神として登場。神々の王として阿修羅と戦い勝利した話など、勇ましい逸話の多い最強神インドラが、帝釈天のもとの名前だ。」次は金剛力士(仁王)。「寺門の両側に立って、参詣者を最初に迎えるのが金剛力士像。~略~口を開ける阿形と、閉じる吽形で一対。」次は四天王。「四天王は、どんな仏菩薩にも仕えてその四方を護る、いわばオールマイティーの天部チームである。東方に持国天、南方に増長天、西方に広目天、北方には多聞天。」次は毘沙門天。「毘沙門天は、多聞天がもっていた北方守護の役目をさらに強力化した存在となり、武神として篤い信仰を集めた。」次は十二神将。「薬師如来につき従う十二神将は、薬師専属のガードマン・チームである。~略~宮毘羅・伐折羅・迷企羅・安底羅・頞儞羅・珊底羅・因達羅・波夷羅・摩虎羅・真達羅・招杜羅・毘羯羅の表記が一般的である。」次は吉祥天。「ヒンドゥー教では、美と繁栄の女神。」次は弁才天。「古代インドに流れていたという聖なる河、サラスヴァティーを神格化した女神が、弁才天である。」次は訶梨帝母。「鬼子母神とよばれる女性の仏で、その前身は、人間の子どもをさらって食らう古代インドの悪女神ハーリーティー。」次は十二天。「天部に属するあまたの尊格のなかから、重要な十二尊を一組としたもので、密教では方位を護る天部として大切にされている。」次は八部衆。「かつては異教の神だったものが仏に帰依し、仏法を守護するようになったのが天部の仏であるが、そのなかでとくに釈迦に忠誠を誓った八種の神を、八部衆という。」次は二十八部衆。「千手観音の眷属として主人を仏敵から守護し、千手観音を信仰する人々をも護るのが彼らの使命だ。」次は大黒天。「財宝は詰まった大きな袋を担いで米俵の上に立つ、円満な表情を浮かべた小太りな姿。これが、広く知られている大黒天の姿である。」次は韋駄天。「仏舎利を盗んだ鬼神を追いかけて、見事に取り戻したという伝説の持ち主。俊足を意味する韋駄天という言葉は、このエピソードがもとになっている。」次は歓喜天。「サンスクリット名が、”歓喜の自在者”という意味をもつことから歓喜自在天、大聖歓喜天ともいう。」次は八大童子。「不動明王に付き従う眷属という役割を与えられた、八人の少年グループである。」以上が代表的な天です。

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