新聞記事「異形の顔 両面宿儺」について

昨日の朝日新聞の記事に面白い内容が掲載されていたので、NOTE(ブログ)で取り上げます。記事の見出しは「異形の顔『両面宿儺』は何者か」というもので、私は両面宿儺(りょうめんすくな)という存在を初めて知りました。それぞれ反対側に二つの顔を持っていた怪人で、歴史書「日本書紀」に登場します。編集委員がこの記事を書いた契機は、両面宿儺が人気マンガの主人公の敵役として登場するらしく、マンガによるキャラクターが、熱心な読者層によって既に知れわたっているのかもしれません。私はまだその人気マンガを読んだことがなく、日本古来の伝承をマンガのキャラクターに応用する手法は、私にも旧知の「鬼滅の刃」に登場する鬼にも通じるものがあるように思えます。記事によると「古くから、異形には邪悪なものを退ける力があると考えられてきた。『表裏に顔のある考古資料としては、縄文時代の香炉形土器や弥生時代の再葬墓から見つかる人型土器などがあるが、それらが二つとも同じ顔なのに対し、和歌山市大日山35号墳の入れ墨入りの両面埴輪は、片面の顔だけが口が裂けた異形に表現されている』(考古学者設楽博巳氏)と指摘する。」とありました。まだまだ解明されていない謎が残る古代史に、ロマンを感じているのは私だけではないはずです。マンガを初めとする表現活動に創作が入り込む余地があるとすれば、なかなか楽しいし、それが要因になって子どもたちが考古学に興味をもてば、学術層が厚くなるのではないかとも思います。ネットで調べてみると、日本書紀の両面宿儺に関する部分が出ていました。全て引用いたします。「六十五年 飛騨國有一人 曰宿儺 其爲人 壹體有兩面 面各相背 頂合無項 各有手足 其有膝而無膕踵 力多以輕捷 左右佩劒 四手並用弓矢 是以 不随皇命 掠略人民爲樂 於是 遣和珥臣祖難波根子武振熊而誅之(現代語訳)六十五年、飛騨国にひとりの人がいた。宿儺という。一つの胴体に二つの顔があり、それぞれ反対側を向いていた。頭頂は合してうなじがなく、胴体のそれぞれに手足があり、膝はあるがひかがみと踵がなかった。力強く軽捷で、左右に剣を帯び、四つの手で二張りの弓矢を用いた。そこで皇命に従わず、人民から略奪することを楽しんでいた。それゆえ和珥臣の祖、難波根子武振熊を遣わしてこれを誅した。」

関連する投稿

  • 週末 梱包作業に追われる① 週末になりました。朝から工房に篭って梱包用の木箱作りに精を出しました。昨年から木割を補強材として取り入れた木箱作りをやっていて、昨年の作り方を思い出しながら数点の木箱を作りました。工房の床に置いてあ […]
  • 20’創作活動の再始動 「創作活動の再始動」なんて大袈裟なタイトルをつけましたが、大晦日まで連日陶彫制作に明け暮れていて、元旦だけ陶彫制作を休んで今日からまた始めたので、再始動と言っても休んでいる感じはしません。仕事の閉庁 […]
  • 鑑賞者としての学び 私の職場で発行している広報誌に禅画に関する文章を寄稿しました。このところ鞄に携帯している書籍として「あそぶ神仏」(辻惟雄著 […]
  • 命を繋ぐ思いをこめて… 今日は3.11です。8年前に未曾有な被害を齎せた東日本大震災。横浜でも大きな揺れがあって、物資の運搬経路が一時ダウンし、自然災害の影響力を感じ取った日々を今でも忘れることが出来ません。もうあれから8 […]
  • 彫刻家飯田善國によるピカソ評 7月27日付の朝日新聞「折々のことば」欄に、彫刻家飯田善國によるピカソ評が掲載されていて、目に留まりました。「十歳で どんな大人より上手に 描けた 子供の ように描けるまで一生 […]

Comments are closed.