東京木場の「ライゾマティクス_マルティプレックス」展

先日、東京都現代美術館で開催中の「ライゾマティクス_マルティプレックス」展に行ってきました。ライゾマティクスという異能集団には、アーティストやエンジニア、建築家や研究者もいて、それぞれが専門分野で分担し、ビッグデータの視覚化や多様なデジタル表現を通して、マルティプレックス(複合的)な演出を手がけていました。展覧会で紹介されていたパフュームの舞台映像は私も知っていて、その彼らが美術館で大掛かりな展示を試みていたのでした。最近見たNHK番組の「日曜美術館」で「ライゾマティクス_マルティプレックス」展のことを知り、是非行ってみたいと思っていました。私は学校に勤めていた頃に、教え子たちを連れて、東京お台場にあるデジタルアートミュージアムに行ったことがあります。その時は、彼らと学校体育館の内部で試みたプロジェクション・マッピングのことをもっと学びたくて、チームラボの人たちに会ってきたのでした。そうした動きはさまざまな場面で生かされていて、アートの主要な媒体として私は注目しています。同展でまず心を動かされたのが、白い5個の立方体が前後左右に動き回り、そこに光を投影してアクティヴな空間を創出していた部屋でした。映像には立方体にダンサーが配置され、彼らの動きとコラボレーションしていましたが、実際の部屋にはダンサーはおらず、光でその残像が映し出されていました。次に注目したのが、小さな球体がカーブを描いて流れてくる巨大なレールのオブジェで、球体は自ら光を放ち、その不規則性に不思議な雰囲気を感じさせ、まるで球体が生きているかのような錯覚を齎せていました。音響も空間演出に重要な役割を果たしていました。立方体にしろ、巨大なレールにしろ、アナログな物質とデジタルな仮象を組み合わせた世界観は、忽ち私を虜にしました。図録が後日届くことになっていますが、その背景となる思索や多様な試行錯誤のことも図録にあれば知りたいと思っています。これは現代が生み出した新しい表現形態ですが、美を享受する心は普遍的なものではないかと私は改めて思った次第です。

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