上野の「日本のたてもの」展

東京上野にある東京国立博物館表慶館で「日本のたてもの」展が開催されていて、「自然素材を活かす伝統の技と知恵」という副題がついていました。本展は日本の文化財建造物を、精密な建築模型にするとこんな感じになるのかという感慨を齎せてくれます。建築模型と言えどもその構造やら素材感が私にも伝わってきました。実際に見たことがある伝統的な建造物が、ほぼ10分の1の模型になっていることによってあらゆる角度から構造が見られました。また私自身が創作活動として架空都市を作っているため、建築模型には人一倍興味関心があるのです。図録から引用します。「我が国では古くから建築模型が製作されてきた。文化財建造物の修理事業においても、修理着手前や構造補強が必要な場合などで、実際の模型を製作して修理方法を検討することが少なくなかった。また、解体修理に伴う調査によって現状と異なるかつての姿が明らかになっても、管理や活用上復原が困難な場合に、調査で得られた知見について模型を製作することで記録保存することは有効な手段である。」(豊城浩行著)多くの建築模型の中で、私が想像で小人になってその内部に入り、暫し楽しめたのが茶屋でした。大きさも5分の1で、眼で遊ぶにはちょうど良く、喫茶の様子を思い描くことができました。「喫茶の作法は中国から禅宗とともに入ってきた。茶には覚醒作用がある。小室のなかで亭主が点前をおこない客人が茶を喫する、という作法が流行したのは中世後期の堺の町衆のなかであった。和歌ほど高級な趣味がなくとも寄合ができる、という意味で喫茶は町衆に重宝されたのであろう。織田信長が茶に傾倒したことから武士にとっては非常に重要な作法となった。茶室は、田舎家をまねた鄙びた小室を作った。茶人は競って個性的な意匠の茶室を工夫し、またそれの写しを作った。茶室は茶道の大衆化とともに現在も人気が高い。」(藤井恵介著)と図録にあり、模型とともに建築構造の面白さに惹かれました。

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