「演繹的諸体系の理論と多様体論」第30~第32節について

「形式論理学と超越論的論理学」(エトムント・フッサール著 立松弘孝訳 みすず書房)の小節のまとめを行います。本書の本論は初めに第一篇「客観的な形式論理学の諸構造と範囲」があって、その中の第3章として「演繹的諸体系の理論と多様体論」があり、今日はその第30節から第32節までのまとめを行います。前回から登場している多様体論に関しての節ですが、じっくり読み込んで、ここが著者の主訴と思える箇所に線を引き、それを書き出しています。しかしながら前後の脈絡がないため、文章として見ると難解を極めてしまっているのですが、それをご容赦願って今回も引用をさせていただきます。「私には数学をつねに内面的に導いているように思えたこの概念(確定多様体の概念)の隠れた起源は次のようなことである。ユークリッドの理想が実現されたと考えれば、諸公理の非還元的〔あるいは既約的〕な有限の体系から純粋に三段論法的な演繹によって(したがって論理的には下位段階の諸原理によって)空間幾何学の無限な体系全体が推論されて、空間のアプリオリな本質が理論的に完全に開示されるであろう。」数学者たちの研究から見えてきたことを、著者はこのように論じています。さらに多様体の本来の意味からこんなことも導き出しています。「もともと多様体とは無限な対象領野の形式理念のことであり、この領野にとっては一つの理論的説明の統一が、あるいは同じことだが一個の法則論的な学の統一があるのである。《理論的に説明可能な領野》(演繹的な学問の領野)という形式理念と《確定的な公理体系》とは同値である。」多様体論の最高の理念として「〈可能な理論形式のすべてと可能な多様体形式のすべてを、数学的な特殊例として派生し、さらにそれらを包摂するような、一つの最高の理論を求めて努力すべし〉という普遍的な課題の理念が生じることになる。」と結んでいます。

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