「Ⅰ 彫刻について」のまとめ

「イサム・ノグチ エッセイ」(イサム・ノグチ著 北代美和子訳 みすず書房)の「Ⅰ 彫刻について」のまとめを行います。「Ⅰ 彫刻について」は10章に分かれていますが、論文形式でありながら短く内容がまとまっていました。彫刻に関するノグチの考え方がよく分かり、当時ノグチが考えていた空間把握などが現在にまで続いている様子が散見され、興味関心を持ちました。「ぼくらの空間体験は時の断片に限定されているのであるから、成長が存在の核心となるべきだ。ぼくらはふたたび生まれる。そして自然のなかに成長があるようにアートのなかにも成長がある。」また近代の彫刻の歩みに関して、「近代の彫刻には最初からふたつの傾向があったと。ひとつはメカニスクから派生し、それに基礎をおいてそれ自体へのフォルムへ向かうもの。もうひとつは自然の概念から出発してその内的な意味を探るもの。前者は、ロシアの構成主義者による作品にみられるように過去の人文主義的な伝統とはばっさり縁を切り、非具象と機械化の極限まで達する。後者のより有機的なタイプの最良の例は、カルダーのモビールやジャン・アルプの作品のいくつかである。」と語られていました。原初的な美については、「モダンアートに親しんでいる人びとは、すぐにプリミティヴに魅了される。しかしながらアーティストによる発見の過程は、おそらくは類似したような欲求と満足とにもとづくのだろうが、アーティスト自身の創作の展開に根ざし、それに付随するものなのである。」とありました。さらに建築と彫刻の関係性についての問いかけがあり、これはノグチの時代以降も続く課題なのかもしれません。「建物はほんとうにただの物理的なシェルターなのか、あるいは一種の象徴的オブジェであるべきなのか。建築家と彫刻家は同一であるべきなのか、それとも組み合わされるべきなのか。」ノグチが後半生を通じて、庭園や遊び場のデザインを自ら率先して施工してきて、その都度思いを巡らせた思考の軌跡を辿ってみることがその答えになるだろうと私は思っています。

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