横浜の「深堀隆介 金魚愛四季」展

先日、横浜駅に隣接するデパートそごう8階の催し物会場でやっていた「深堀隆介 金魚愛四季(きんぎょいとしき)」展を見てきました。本物そっくりに描かれた金魚の群れを見ていると、夏の風情に相応しく清涼感に満たされていて、また多くの鑑賞者も詰めかけて、老若男女が金魚の作品群を楽しんでいました。さまざまな器に透明樹脂を流して、その上にアクリル絵の具で金魚の部分を描いていき、また上から透明樹脂でさらに覆うことを繰り返して、何層にもわたって金魚の全貌を完成させていました。そうして表現された金魚は、水の中を泳いでいるような錯覚に陥り、まさに超絶技巧の産物であることが分かりました。展覧会には額装された絵画や屏風絵もあり、金魚をモチーフにさまざまな実験を試みた作品も並んでいました。図録に画家のコトバが掲載されていたので、一部を引用いたします。「モネは睡蓮の絵が特に有名ですが、モネは睡蓮という植物を描きたかったわけではないと思います。その証拠に彼は睡蓮の品種にこだわってはいません。彼は睡蓮を画面上の水面の位置を示すために利用することで、絵画を光学的に解釈し、絵画を科学に変えてみせました。そこには西洋的な物質主義的な考え方があると、僕には思えるのです。~略~僕の描く金魚は、モネの睡蓮と同じような関係にあります。品種が重要なのではなく、『金魚』という存在が重要なのです。僕の描く金魚は、自分であり、また人間そのものの隠喩として考えています。僕にとって樹脂作品の水面より下は霊的世界を暗示しています。描かれた金魚や藻など、水面より下の世界は絵画だけれども魂の宿る世界だと信じて描いています。これは東洋的アニミズムだと思います。」(深堀隆介著)金魚というテーマと表現方法を見つけたことで、画家自身は「金魚救い」と呼んでいますが、その気持ちは私にもよく分かります。発展性のあるテーマだけに、試行を繰り返して、さらに世界が広がっていければ楽しいだろうと思っています。強烈な夏の暑さの中で、一服の清涼剤のような展覧会でした。

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