8月RECOERDは「苔」
2020年 8月 6日 木曜日
今年のRECORDの年間テーマは色彩です。西洋の色相環に代表される基本的な12色の他に、日本には和色大辞典があって情緒のある色彩名が並んでいます。アクリルガッシュにはそうした日本の色彩名がついた絵の具のシリーズがあって、画材店に行くと目移りがします。アクリルガッシュを入れた私の収集箱には、徐々に日本の色彩が増えてきて、それを眺めているだけでも幸せを感じます。8月のRECRDのテーマを「苔色」にしました。苔は京都の寺院の庭園で大切扱われているコケ類(コケるい)や蘚苔類(せんたいるい)、蘚苔植物(せんたいしょくぶつ)の総称を言うようです。湿気の多いところを岩石面を覆うように苔は生え、寺院の庭園一面に広がる苔は美しい景観を齎せてくれます。「苔むす」という言葉は悠久の時間を示すもので、国歌「君が代」の歌詞にも登場しています。そんな微妙な色彩を扱うには、周囲の状況も描かねばならないと思っています。実際の苔を見ると同時に、日本画に表現された古木や岩に存在を示す苔にも注目していきたいと思っています。苔を描くことで風景が幾星霜にもわたって続いてきた自然のありさまを表現しているのでしょうか。日本には潤いのある自然があり、苔むした石に私たちは情緒を感じてきました。苔の暗く翳った色彩は、まさに日本の色彩と言えます。
関連する投稿
- 7月RECORDは「揺らぐ楼閣」 RECORDは一日1点ずつ制作していく小さな平面作品で、2007年から制作を開始しています。一日1点というのはなかなか厳しいノルマで、その日がどんな状況であれ、必ず制作をしていくのです。毎年テーマを […]
- 16回目の個展開催の7月 7月になりました。昨年のNOTE(ブログ)を見ていると「15回目の個展開催の7月」というタイトルが7月1日にありました。昨年に倣って今年はタイトルを16回目に変えました。昨年、私はまだ校長職にあって […]
- 週末 梅雨前線の活発化 週末になりました。昨晩から関東地方は豪雨に見舞われていて、夜中に警戒警報が鳴りました。土砂災害に纏わる避難勧告が出されていましたが、私が住んでいる地域は周囲に河川が少ないため、大きな被害にはならなか […]
- 2つの新しい印を作る 石による印材に自分の名前を自ら彫り、新しい作品が完成した時に裏側に印を貼っていくのが、私が今まで続けてきた方法です。私の作品が集合彫刻で陶彫や木材で成り立っているため、その組み立てにそれぞれの部品に […]
- 飛躍の6月を振り返る 今日で6月が終わります。今月は7月個展のために図録を作成し、案内状も自宅に届きました。個展に出品する作品の梱包を始めていて、現在は陶彫部品を収納する木箱の製作に追われています。木材を調達しながら木箱 […]
Tags: RECORD
The entry '8月RECOERDは「苔」' was posted
on 8月 6th, 2020
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.