個展の感想より抜粋

今年の個展に来られた方に感想を綴ったお手紙をいただきました。彼は横浜に住まわれている文筆家の方で、高齢にも関わらず毎年私の個展に来ていただいています。私が在廊していない時に来られたようで、お話が出来なかったのが残念ですが、作家野間宏に関する書籍を出版されていて、美術に対する審美眼もお持ちではないかと思っています。お手紙のの一部を抜粋させていただきます。「『発掘~聚景~』がテーマとありましたが、造語とは言え、その意が十分通じます。元になる集合体こそ、貴方が求める生の実態、有り様、更に言えば生きる、生産する自負とでも言えましょうか。…物体は壁から…そこに収斂…の説明が的確な案内になっています。」後半の文章は図録掲載のNOTE(ブログ)から拾っていただいたようで、身に余る言葉が連なっており、何か恥かしいような気もします。「発掘~聚景~」の中で、生の実態を見取っていただけたことに感謝申し上げます。「発掘~聚景~」は廃墟を模していますが、相反する生命の蘇生が隠れたテーマです。廃墟の世界を描いたヨーロッパの画家では、ドイツロマン主義絵画の巨匠フリードリッヒや牢獄シリーズで有名なイタリアの銅版画家ピラネージがいます。彼らの圧倒される世界観は、滅びゆく建造物の中に生命の萌芽も感じさせてくれます。惨憺たる風景を私たちはそのまま受け取ることをしません。この世界の終末の果て、その先に何かがあるような微細な光を感じさせてくれるのです。私はショーペンハウアーの唱えた厭世主義には違和感を抱きつつ、廃墟を見ると幾星霜にも及ぶ悲劇を受け入れていく自分がいます。私は戦災を実態として知らず、国を追われたこともなく、自分の周りで廃墟化が進んだことがないので、簡単に悲劇を受け入れると言っているのかもしれません。そこに一条の光が差すと言ってもそれはイメージに過ぎないと言われれば返す言葉もありませんが、創作活動はどの程度リアルを伴う必要があるのかどうか、議論が出来そうなところです。

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