年休取得して亡母の用事&美術館へ

今日は職場を休んで亡母の用事を済ませてきました。母は東京都大田区蒲田に生まれています。そのため戸籍謄本を取るのに大田区役所に行く必要があり、家内と蒲田駅前にある大田区役所に自家用車で行ってきたのでした。母は大正15年生まれで、18歳まで蒲田に暮らしていました。母が生まれた時の住所は荏原郡蒲田町大字で、実家は和菓子屋を営んでいたようです。母は川崎にある高等女学校を卒業し、横浜の父の元に嫁いできました。戦前の横浜市保土ヶ谷区(旭区)は、鬱蒼とした雑木林に田畑が広がり、車は滅多に見かけず、道の舗装もない片田舎でした。相原の家は所有している田圃からコメを収穫し、それを保存して自給自足の生活をやっていました。戦後になって私が生まれた頃の相原の実家にはまだ土間があり、そこに大きなコメ蔵がありました。台所は薪で火を起こしていて、台所の裏には五右衛門風呂もありました。今でこそ懐古趣味を擽りますが、当時の私はそんな実家の構造が嫌いでした。母も都会育ちだったので私と同じような気持ちになっていたでしょう。私や妹が学生になり、母は育児から解放されるとさまざまな稽古事に手を出し、青春を取り戻そうとしていたように見えました。大田区役所では古い記録を探すのに手間がかかっていたようでした。昼ごろに書類が整い、私たちは大田区から板橋区へ向かいました。東京都をほぼ横断するように首都高速を走りぬけ、板橋区立美術館に辿り着きました。多くの美術館の展示が始まっていない中で、板橋区立美術館が現代彫刻家の個展を開催していたので、久しぶりに美術館に足を運びました。「物語の庭 深井隆」展は5月10日に閉幕していたはずがコロナ渦の影響で会期を延長していたので、詩想に溢れた木彫の大作を見ることが出来たのでした。今まで外出自粛が続いていたため、美術館という空間に改めて新鮮さを感じ、彫刻という実材を伴う立体表現を実際に見ることは、何て素晴らしいことなのだろうと思いました。空間の中に点在する彫刻の凛々しさに私の気持ちもストンと落ちて、自分もこの世界の端くれにいることに誇りを持ちました。「物語の庭 深井隆」展の詳しい感想は後日改めますが、とても快い時間を過ごせました。

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