テーブル彫刻「発掘~突景~」について

現在作っているテーブル彫刻の題名を「発掘~突景~」にしました。同じ大きさのテーブル彫刻は、一昨年前に発表した「発掘~角景~」、昨年発表した「発掘~曲景~」があり、今回はそれに並ぶ3作目になります。「発掘~角景~」はテーブルの下に陶彫部品を吊り下げ、「発掘~曲景~」はテーブルの上と下に陶彫部品を設置し、今回はテーブルの上だけに陶彫部品を置く作品です。テーブルの高さは今回の「発掘~突景~」を一番低い位置に設定するつもりでいます。つもりとしたのは柱の木彫をまだ始めていないので、あくまでもイメージの中でそうしようと考えているためです。上に置く陶彫部品は3点にします。3点の大きさは大中小というバリエーションを考えていて、いずれも頂点が尖っている形態にしています。今までのテーブル彫刻も同様ですが、作品がテーブルである以上、テーブルを支える脚が必要です。脚は木の柱を彫って作品の一部にしています。木彫にも作品の世界観を投影させる必要があり、鋭角なカタチを彫り出そうと考えています。私がイメージする木彫のカタチの源泉は、若い頃に旅したルーマニアの民家にあった木の門や家を支える柱に施された文様です。日本の社寺にも龍や雲の文様が彫られた柱がありますが、私は日本の緻密な具象彫刻よりも、ざっくりとした抽象性の強いルーマニアの建築造形に惹かれてしまいます。それはルーマニアの造形を基盤とした現代彫刻の父ブランクーシにも通じていて、形態に対する憧れに近いものが私の中に存在しているのです。私はルーマニアの、というよりブランクーシの「無限の柱」の残像から逃れられないと言った方がいいのかもしれません。木彫はカーヴィングであり、モデリングの陶彫とは立体に対するアプローチが異なります。双方の表現方法を合わせてひとつの作品にまとめ上げるのが、新作のテーブル彫刻「発掘~突景~」なのです。

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