写真集「BRANCUSI」

写真集「BRANCUSI」(Radu Varia著)はかなり重量のある大型の書籍です。どこで購入したものか記憶が定かではありませんが、地方の美術館のギャラリーショップだったのではないかと思っています。本書は英語で書かれていて、写真が多く掲載されているので、それを眺めているだけでも十分楽しいと感じています。ここ数日NOTE(ブログ)にルーマニア人彫刻家ブランクーシについて立て続けに書いていて、そういえば自宅の書棚に本書が眠っているのを思い出したのでした。この書籍について嘗てNOTE(ブログ)に書いたかもしれませんが、アーカイブを調べてみてもその痕跡はありませんでした。本書の英文を読む気力がないので、私は写真集として見ているだけですが、ブランクーシのアトリエの雰囲気が伝わってきて、石や木、石膏などの作品に囲まれている髭面の作者が、何とも魅力的だなぁと思っています。ブランクーシは自然に存在する形態の簡潔化を図り、部分を削ぎ落とした結果が抽象になっていった過程が本書でよく分かります。図面化された幾何抽象とは異なり、常に自然に根ざしていた形態なので微妙な歪みが見られます。また作品の台座も作品の一部として認識できて、台座に作品と同等の価値を見出しているのは私だけでしょうか。同じ形態を幾つも繰り返し作っていたことも分かり、形態への拘りが強い作家なのだろうと察しています。「接吻の門」と訳せる野外の造形は、私が20代の頃にルーマニアで見た民俗的な家屋にあった門に似ています。魔除けのために狼の牙を象徴した造形を彫り込んだものだと農民は言っていましたが、まさに「接吻の門」は魔除けとは逆の、人と人との出会いを象徴化したものと言えそうです。

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