「モダン・デザインと詩的想像力」について

「呪術としてのデザインー芸術民俗学の旅」(中嶋斉著 彩流社)の第3章の3「モダン・デザインと詩的想像力」についてのまとめを行います。前半ではラファエル前派とウイリアム・モリスの関係が述べられていて、後半になるとウイリアム・ブレイクやエドガー・アラン・ポオといった英国の詩人に代表される現代に継承された芸術の意味が解き明かされていました。「たしかにブレイクやポオに見られるような日常世界(の意味)の再現を芸術から排除するとき、浮上してくるのは形式の問題である。この場合想像力は単に空想や幻想といったものではなく、人間や自然をそのまま素材として扱うのではなく、それらが作りあげられている諸々の要素に分析し、新しい形にそれらを組立て、日常にはかくれて知られなかった存在の意味や魅力を現前させる構想力である。~略~ブレイクの精神的営みは、古代ケルトのドルイドやユダヤの信仰の世界にも通じ、錬金術師の呪術に似たものであった。」次に新しい芸術批評家としてオスカー・ワイルドが登場します。「彼(ワイルド)は芸術とは絵空事であり、美しい不実なものを語ることが目的であって、近代芸術は非写実的な装飾芸術でなければならないと言う。嘘をつく力の衰退とは、ギリシャ以来の古典主義的写実(模倣)の芸術の支配によって、芸術からの虚構性、装飾性が失われたことであり、いわば想像力の欠如であるというのである。」アール・ヌーヴォーが登場する素地はそんなところにあったように思います。さて次の時代を象徴するのがバウハウスです。「このバウハウスが果たした役割とは、一つには芸術における批評精神の尊重であり、それ故に優れた人材を招聘して現代芸術のあるべき姿を考えようとしたことであり、その流れの中でデザインの本質をとらえようとしたことであろう。~略~バウハウスという20世紀初頭に起こった総合芸術運動をとりまいて『イズムの時代』が進み、アール・デコ様式は1925年パリで開かれた国際装飾美術博覧会を契機にもたらされた欧米の都市芸術の象徴となった。かつて支配的だった装飾過多のアール・ヌーヴォーに代わって、古典主義的な左右相称的な構図をもち、明るい原色と簡潔な流線や直線を用いて明快さを強調し、スピードとリズム感にあふれた装飾を大衆消費生活の中に浸透させていったのである。」最後にシュール・リアリズムについて触れておきます。「第一次大戦後の世相が個人の欲求を抑圧し、創造性を失わせようとしていることに対して、シュール・リアリストらが『理性の一切の統制なしに純粋な心的自働性(アンドレ・ブルトン)』による芸術創造を企てたが、彼(ブルトン)も無意識や夢の世界の探究とその表現の試みによる人間性の回復と救済を主張した。」

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