週末 屏風接合陶彫の困難
2019年 12月 8日 日曜日
今日は朝から夕方まで工房に篭りました。若いスタッフもやってきて基礎的なデッサンに勤しんでいました。工房内は寒くなってきてストーブを出しましたが、家庭用のストーブは周辺を温めるだけで、工房全体は暖かくなりません。若いスタッフはストーブの近くで作業していて、私はそこからかなり離れた場所で、陶彫制作をしています。そろそろ手が悴む季節になったなぁと思います。現在取り組んでいる陶彫部品は、屏風に接合する比較的小さめのものですが、なかなか成形が難しいところがあって、神経を使います。何回かやり直すと陶土に僅かな皹が入り、土の新鮮さが失われます。陶土は最初の一回で成形を決めなければならないと痛感するところですが、上手くいかない箇所はどうしてもやり直しをしてしまうのです。最終的に叩き板で調子を見ながら表面を叩き、金属ヘラで摩って皺を補いますが、焼成中に割れが生じるのはこんなところが原因かもしれません。成形で誤魔化すことが出来ない箇所は、罅割れを覚悟して、イメージ通りのカタチを優先していきます。陶芸とは異なり、かなり無理なカタチを造形しているために、陶彫は技法に慣れることがありません。何度やっても陶土を上手くコントロールできない自分に嫌気がさしています。午前中は成形に神経を尖らせていたので、昼頃に近隣のスポーツ施設に行ってクールダウンのために水泳をしてきました。午後は成形を継続していたら、いくら休憩を取っても困難さは変わることがないなぁと実感しました。今日は夕方4時には作業を終えました。若いスタッフを車で送りながら、週末はいつも疲れているなぁと溜息をつきました。世の中の雑念を一切忘れられる創作活動は、幸せであると同時に何か別世界の苦しさに襲われて、自分の無力を思い知るのです。己の人間性を推し量るとすれば、ウィークディの仕事は役職上、私は職員の仕事を監督しているために、ともすれば自分の力を過信してしまうような誤解を生みます。そこへいくと創作活動は自分の力の及ばないところがいっぱいあって、自分がちっぽけな存在であることを自覚させられるのです。そんなバランスで私は生きているのかもしれません。