横浜の「ルノアールとパリに恋した12人の画家たち」展

先日、開館延長の金曜日に横浜美術館の「ルノアールとパリに恋した12人の画家たち」展に行ってきました。ルノアールを含む13人の画家はA・シスレー、C・モネ、A・ルノアール、P・セザンヌ、H・ルソー、H・マティス、P・ピカソ、A・モディリアーニ、K・ドンゲン、A・ドラン、M・ローランサン、M・ユトリロ、C・スーティンで、錚々たるメンバーの作品が出品されていました。これはパリのオランジュリー美術館所蔵の作品で、この時代の西洋絵画が好きな鑑賞者にとっては嬉しい内容ではないかと感じました。13人に共通しているのは全て画商ポール・ギヨームによる収集品で、時代を読む先見の明があった人の業績を讃える展覧会にもなっていました。図録から引用すると「ルノワールからスーティンまで、このコレクションは印象派から表現主義に至るまでの具象美術の系譜を際立たせている。~略~パリの前衛を好んだ創設者ギヨームの趣味に根ざすものである。一方で、ルノワールからピカソまでの貴重な傑作品によって特徴付けられる世界でもユニークなこの作品群には、どちらかというと古典的な部分を強調したいと願ったドメニカ(ギヨームの妻)の趣味とが、混ざり合ってもいるのである。」(S・ジラルドー著)とありました。コレクションの中でも今回はルノワールに主軸があるように思えて、改めてルノワールに対しての認識を新たにしました。「戦争がもたらした混乱や社会不安に対して人々は安定や秩序を求め、美術においても戦前のキュビズムやフォーヴィズムなどの前衛芸術の『行き過ぎ』に対する反動として、創作の源泉を古典に求め、人間性を回復しようとする動きが現れたのである。このような状況を背景に、女性の肉体美をおおらかに描くルノワールの後期作品に注目が集まるようになっていた。」(沼田英子著)今回の企画展に関するものはこれだけではなく、ギヨームの前衛美術に対する出発点が非西洋にあったことに私は注目しました。「ギヨームは、早くからアフリカ彫刻の芸術性に注目し、西洋と非西洋の美意識の融合のもとに前衛美術を牽引しようとしたのだが、彼のコレクションはそうした芸術観により構築され、この展覧会(1922年)はそれを端的に示したものだったと考えられよう。」(沼田英子著)私はアフリカ彫刻がこの時期の画家たちに影響した形跡に興味関心を持っていて、これに関しては別稿を起こそうと思います。

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