窯出しの夜に思うこと

月曜日の夕方に新作第1号となる大きめの陶彫部品を窯に入れました。毎年やっている制作工程最後の作業ですが、同じ作業にも関わらず毎回緊張をしてしまいます。3日間陶彫部品を窯に入れ放しにして、今晩窯出しをしました。焼成中は毎朝出勤前に工房に行って、窯の温度を確認していました。私が所有しているのは電気窯で、温度が自動調整されているため、焼成中はずっと窯を見ていなくても大丈夫なのです。二足の草鞋生活を送っている私は、薪窯やガス窯のように温度調節が常に必要な窯は持てません。茨木県笠間に住む友人が窯内のゼーゲルコーンを見ながら一晩中温度調節をしている様子を見て、羨ましいなぁと思ったことがありました。また、酸化と還元を使い分ける手法にも私は憧れを持っています。私は自作では釉掛けをしません。昔、釉薬のテストピースを作る実験をしたことがあったので、ほんの僅かな釉薬が工房に置いてありますが、20年間まったく使っていません。釉掛けをしないのは陶芸として魅力が半減していますが、私はあくまでも彫刻の素材として陶土を選んでいるので、釉薬や焼成方法には拘りがないのです。私が作る陶彫が陶芸ではないもうひとつの特徴は、窯入れする時の窯内体積を考えずに作品を作ってしまうことです。窯内にはぎっしりと作品を詰めることが経済的にも有効ですが、陶彫は扱いにくい形態をしているので、たった1体で焼成をすることも多々あります。贅沢な窯内空間の使い方をしているなぁと思っていますが、こればかりは効率を考えるより、カタチ優先の陶彫では仕方がないことです。今年も漸く焼成が始まりました。陶彫の醍醐味でもある焼成は、人の手が及ばない工程ですが、それだけに不思議な魅力に惹かれてしまう自分がいるのです。

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