「呪術としてのデザイン」を読み始める

「呪術としてのデザインー芸術民俗学の旅」(中嶋斉著 彩流社)を読み始めました。本書は自宅の書棚に仕舞いこんでいたもので、未読の一冊です。これは職場の私の部屋に置いておいて、折に触れて読もうと思っています。前まで読んでいた現象学者の論文とは違い、本書は比較的平易ではないかと思っているので、楽しく読み進められるかなぁと期待しています。素朴な土俗信仰や高度に洗練された宗教であっても、人間が畏怖を感じる存在を具現化したものは世界各地にあります。私も願わくばそうした不可思議なデザインを訪ねて世界中を巡りたいと思っているので、本書は私の願望を満たしてくれる格好な書籍であろうと考えています。目次を見ると、ケルト民族の意匠に関するものが多いのも興味・関心を引くところでもあります。序文に次のような一節がありました。「芸術の本質もまた超越的な存在の媒介による他者との位置関係の新しい設定であり確認である。日常の目に見えなかったものを感覚の領界にうつし、非現実を現実化するとき、詩が生まれ、建築が始まる。芸術と宗教、そして科学に通底するものは呪術のデザインである。」私が創作活動として陶彫制作をするとき、日常では見ることができないイメージ世界を捉え、その存在を効果的にする素材を選択し、具現化するために技法を習得するのは、何かに突き動かされているのかもしれないと常々感じていて、でも、その正体を掴むことは到底出来ません。創作の動機や意欲はどこからやってくるのでしょうか。自分では説明のつかないものを本書とともに考えていきたいと思っています。こんな一文もありました。「芸術は、自己表現であるよりはむしろ神との対話である。暗闇のしじまに、不可思議なフォルムの醸成をまたなければならない。呪術はその位相空間を可能にする工夫であり、意匠である。」

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