上野の「円山応挙から近代京都画壇へ」展

先日、東京上野にある東京芸術大学美術館で開催されている「円山応挙から近代京都画壇へ」展に行ってきました。隣にある大学の大学祭(芸祭)があったせいか大変混雑していましたが、前から見たいと思っていた大乗寺にある有名な屏風はしっかり堪能することが出来ました。私は20代の頃は西洋彫刻しか視野に入らなかったので、日本美術を扱った展覧会にはほとんど足を運びませんでした。それでも応挙の世界は知っていて、応挙が描く動植物の写生は目を凝らして見た記憶があります。応挙の絵画は、狩野派や土佐派にある様式的な絵画ではなく、まさに西洋の科学的な形態を踏まえた描写に近かったので、興味関心が湧いたのではないかと述懐しています。本展では応挙と呉春、さらにその流れを汲む画家を網羅していて、円山・四条派と呼ばれる系譜を知ることが出来ました。図録には応挙と呉春の特徴を述べた箇所がありました。まず応挙。「応挙は絵画一筋の画家であったと筆者は考えている。作家には様々なタイプがある。普段は制作とは関係なく好奇心のままに過ごし、その経験を活かして着想を得る者もいれば、常に作品と向き合い、作品との対話の中から新たな展開を見出す者もいる。~略~応挙の場合は、写生したものを活かしていかに画面を作り上げるかということを、観る人の視点を考慮しながら綿密に考え尽くす必要があり、おそらく旅に出ている時間がなかったと想像される。」次に呉春。「呉春は蕪村に学んだことで、画技の基礎として俳画や文人画を培っており、応挙の写生の精神を学んだ後も画風が全く応挙風になるということはなく、叙情性のある独自の画風を生み出した。」(引用は全て平井啓修著)今回の企画展で私は応挙のリアルな世界ではなく、呉春の軽妙洒脱な世界を楽しむことも出来ました。呉春は四条派を形成していきますが、門弟たちが京都の四条に住んでいたことからこの名称になったようです。それぞれの絵画世界については別稿を起こしたいと思っています。

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