姫路城に見る城郭石垣について

今月出かけた兵庫県の姫路城で、その美しさもさることながら、私が注目したのは城郭の石垣でした。これは昔行った九州の熊本城で、石垣の反りの美しさに溜息が出たことを思い出しましたが、姫路城の石垣も多様な相貌を見せてくれていて、美しさの余り暫し疲労を忘れました。若い頃から建築や土木に興味があった私は、父が造園業という生育環境にもその要因があったのかもしれません。姫路城の思い出に城郭石垣についての資料を、彼の地で購入してきました。そこには城郭石垣は接着材料を使用しない空積みで、法(ノリ)という傾斜と反(ソリ)というカーブが特徴と書かれていました。石垣の構成としては表面から順に築石(ツキイシ)、裏込(ウラゴメ)、盛土で構成され、姫路城は小丘陵を削って石垣を築いているため、盛土だけでなく岩盤を利用している箇所もあるそうです。石垣の隅角部分も気になりました。これは長方形の石材を長短交互に組み合わせて強度を高めており、これを算木(サンキ)積みと呼ぶそうです。石垣の分類としては、石材の加工度から自然石を使う野面(ノヅラ)積み、粗加工を施した割り石の打込みハギ、鑿などで整形加工した切込みハギの3種類がありますが、姫路城はそのいずれも見ることが出来て、まさに石積みの博覧会のようです。資料には石垣の歴史に触れた部分がありました。弥生時代の墳丘墓や古墳の石室など、石積み技術の歴史は古いのですが、城郭に用いられるのは7世紀以後で、姫路城に見られる近世城郭の石垣は、織田信長から豊臣秀吉へ続く「織豊系(ショクホウケイ)城郭」の石垣技術が全国へ広まったものだそうで、ここにも石垣技術の博覧会があって鑑賞者を楽しませてくれました。関が原合戦後には、石材が自然石から加工石材へと変化し、高くなる石垣に合わせて傾斜も急になり、反りの発生と算木積みの発達が進んだのでした。城郭石垣を鑑賞の切り口にして眺める各地の城も面白いのではないかと、私はこの時思いました。石垣に使用する石材、城の建築に使用する木材、屋根の瓦や漆喰に使用する土、どれも日本の風土が齎せてくれる素材ばかりです。そこに最高の職人技があって完成する城は、私たちの文化の誇りとするものではないかと考えます。その城の中でも白鷺に喩えられる姫路城を、今夏鑑賞できて良かったと思いました。

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